熱海、2人だけからの出発 1年生入部で単独出場へ

チームを攻守でけん引する熱海・木下主将

熱海(静岡)は選手10人で夏に挑む。昨夏の大会後、選手は主将の木下康熙(こうき)内野手(3年)と、真野和翔外野手(2年)の2人だけになった。一時は野球を続けるか悩んだが、お互いに協力して練習を続けてきた。今春入部した1年生と助っ人の力を借り、13年ぶりの初戦突破を目指す。

熱海は昨夏の大会後、選手は木下と真野の2人だけとなった。日々の練習は基礎的なものだけ。ノックは1カ所でまとまって受け、送球相手はネットだった。打撃練習もマシンを相手に打ち込み、散らばったボールを、マネジャーを含めた3人だけで拾い集めた。木下は「何度も野球をやめようと思いました」。真野も「先が見えず、不安ばかりでした」と、当時を振り返る。昨秋は合同チームでの出場も可能だったが、木下は「プレーに集中できる状態ではなかった。相手にも失礼になると思いました」と、大会不出場を決断した。

それでも周囲に支えられ、逆境を乗り越えた。木下は、古谷田辰徳監督(40)に何度も相談に乗ってもらった。「人一倍、選手のことを考えてくれる。頑張って野球を続けて、先生の気持ちに応えたいと思いました」。そして、後輩の真野は、主将の必死な姿に触発された。「康熙さんがいたから続けられた。先輩の最後の夏をしっかり支えたいです」。

春の大会は伊豆総合との合同チームで出場。今春、1年生6人が入部。さらに、野球経験者の羽成太陽外野手(3年)と、細野ひろみ内野手(2年)が助っ人として加わり、夏は単独チームでの出場が実現した。2006年の初戦突破を最後に、夏の勝利からは遠ざかっている。木下は「自分がチームを盛り上げたいです」。チーム一丸で、13年ぶりの夏1勝を目指す。【古地真隆】