茨木・坂本“たった1人の男子マネジャー”/コラム

勝利を喜ぶ茨木の坂本健樹マネジャー(撮影・望月千草)

<令和のなつぞら>

<高校野球大阪大会:茨木5-4常翔学園>◇11日◇1回戦◇南港中央野球場

勝利に笑みが止まらなかった。足を引きずってナインに近づくと、がっちり握手を交わし合った。

茨木(大阪)で唯一の男子マネジャー・坂本健樹(1年)は生まれつき左足が不自由。人よりもゆっくりと、引きずりながら歩く。今も月に2度は、リハビリで通院している。

小さい時から、阪神ファン。「阪神をずっと見ていて楽しそうだなと思って」。小学2年から野球を始め、三塁手や外野手としてプレー。「走ったりするのは大変だった」と振り返る。「自分にできることがあるなら野球に関わりたい」と高校では裏方としてチームを支える道を選んだ。

部内では「もってぃー」のあだ名で親しまれる。先輩の女子マネジャー5人とともに、部をサポート。打撃マシンの管理など練習の補助から、お茶出しまで。器用なことは苦手といい「お守りを作ったりするのはできません…」と苦笑い。石丸寛明監督(26)は「まだ入ったばかり。これからですね」と新米マネジャーの成長を心待ちにする。「もっと野球にくわしくなって、配球とか技術的なアドバイスもしたい」と意欲的だ。「3年生が笑って終われる夏にしたい」。大好きな先輩たちと、1日でも長い夏を送る。【望月千草】