西宮東が近くて遠い聖地へ1歩、茶谷7回快投/兵庫

県伊丹対西宮東 7回無安打無失点の好投で勝利に貢献した西宮東・茶谷(撮影・清水貴仁)

<高校野球兵庫大会:西宮東7-0県伊丹>◇16日◇3回戦◇ベイコム野球場

西宮東(兵庫)の最速143キロサイド右腕、茶谷哲兵投手(3年)が県伊丹戦で7回参考ながらノーヒットノーランを達成した。9三振を奪い、出塁を許したのは四球による2度だけ。学校から甲子園までは徒歩で約5分。

春夏合わせて出場のない夢舞台に向けて、今年は頼もしい男がいる。

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大会注目投手の茶谷が快投を演じた。武器は「サイドスローから投げ込む気持ち悪い直球」。最速は143キロを誇り、特に県伊丹の4人いた左打者の膝元へ鋭く食い込ませた。6回まで毎回の9奪三振にも「三振へのこだわりはない。打たせて取るのが本来の投球」。胸を張ったのは、内野ゴロ10個、内外野へ1個ずつのフライだった。右翼手と左翼手に守備機会はなし。2四球を与えても二塁を踏ませず、7回参考でノーヒッターになった。

東佑樹(31)監督も「前回の登板では苦しんだ分、今日は良かった。今年で一番試合に集中して臨めていた」と絶賛だった。ホームが遠かった県伊丹の内藤祐司(31)監督も「当然、対策はしていたけれど打てなかった。完敗です」とその投げっぷりに脱帽だった。

7回で要したのは79球と省エネだった。茶谷は「今までは下半身をうまく使えなかった。冬場に下半身を使う練習をしてきた」。チームメートが「練習の時は、あまり話すところを見ない。かなりストイックに自分を追い込んでいる」と証言する取り組みで、フォームは安定した。制球力が高まりベースの角をなめる直球でゴロの山を築いた。

お気に入りのリフレッシュ方法は、学校のプールで試合や練習後にゆっくり歩くこと。「歩きながら試合について反省できるし、疲労回復にもなる」。体のクールダウンと同時に野球への取り組みも整理できる。甲子園出場歴はないが徒歩で5分ほどの距離にあり、「甲子園に近くて遠い」学校として知られる。今夏、ノーヒッター茶谷の1日でも多い「ザブン」が、夢舞台への近道になる。【松本直也】

◆茶谷哲兵(ちゃたに・てっぺい)2002年(平14)3月19日生まれ、兵庫県出身。小学1年に広田フレンズで野球を始め、同3年から投手。西宮市立平木中の軟式野球部でプレーした。趣味は月1回程度のビリヤード。家族は両親と妹2人。181センチ、79キロ。右投げ右打ち。