早実・清宮2安打2打点兄から「暴れてこい」西東京

小平西対早実 6回裏早実1死一塁、左中間へ二塁打を放つ早実・清宮(撮影・佐田亮輔)

<高校野球西東京大会:早実6-0小平西>◇17日◇3回戦◇ダイワハウススタジアム八王子

弟も千両役者になる。早実・清宮福太郎内野手(1年)が小平西戦に「6番左翼手」で高校公式戦初出場を果たし、決勝打を含む2安打2打点1盗塁の活躍を見せた。日本ハムで2年目を迎えた兄幸太郎内野手(20)の高校時代を超える活躍ができるか。次は18日、田無工との4回戦に臨む。

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“福太郎”が球場の空気を一変させた。0-0の4回1死二、三塁。早実・清宮が右前に2点適時打を放った。「逆方向に打とう」という狙い通り。均衡を破る一打に「しっかり打つべきところで打てた。自分的に仕事をした感があった」と胸を張った。この日が高校公式戦デビュー。高校通算111本塁打を放ち注目された兄幸太郎と同様に、勝負強さを感じさせた。

背番号は兄が1年春につけたのと同じ「19」。試合前に「暴れてこいよ」とメッセージをもらい、兄とは逆の右打席で快音を響かせた。6回にも高めの球を引っ張り、左中間二塁打。得点につなげた。期待通りの活躍で和泉実監督(57)から「新しい戦力として思いっきりやってくれた」と褒められた。

強運の持ち主かもしれない。16日に予定されていた試合が雨天順延となったことで、デビューが17日になった。この日は父克幸氏の52歳の誕生日。1月にヤマハラグビー部の監督を退任した際「もう1つの仕事が福太郎をアスリートにすること。ラグビー選手を育てるのも野球選手を育てるのも一緒。ずっと離れていたので、父親としての責任を果たします」と話してくれていた父に思いがけず親孝行ができ「良かったです」と笑った。

デビュー戦を「緊張はしたけど、そこまで気にならなかった」と振り返り、肝の太さも見せた。4回の適時打後、二盗を狙うもスタートを早く切りすぎ、一瞬動きを止めた。しかし、けん制はなく再スタートを切り、悠々セーフ。あわや凡ミスも「ノーマークだったのでたまたまです」。苦笑いの表情は、どこか兄と似ている。「チャンスでしっかり打てる、勝負強い選手になりたい」。兄が幸せをもたらして以来、早実4年ぶりの夏の甲子園へ。弟が福を招く。【飯岡大暉】

▽小平西・林田憲哉投手(清宮に適時打を打たれ)「(投げた球は)直球。甘いコースではなかったが、直球に強くて打たれてしまい悔しい」

◆清宮(現日本ハム)の早実1年時は、春の東京都大会3回戦(対駒大高)で早くも公式戦デビュー。背番号19、3番一塁で先発出場し、4打数1安打1打点。6回1死満塁から勝ち越しの左前適時安打を放ち、これが勝利打点になった。夏の西東京大会初戦(対東大和南)は台風の影響で2日連続順延になり、7月18日に背番号3で初登場し3打数1安打1打点。遊撃後方に落ちるポテンヒットに「あんなので、すみません」と苦笑い。夏は甲子園4強まで進出。1年春から夏の甲子園までの公式戦全14試合で安打を打ち、12試合で打点を挙げた。ちなみに3年時には父克幸氏の50歳の誕生日に芦花戦で満塁本塁打を放ち「父親の誕生日というのは分かってましたし、最後の最後で出てホッとしています」と話した。

◆清宮福太郎(きよみや・ふくたろう)2003年(平15)7月3日生まれ。東京都出身。早実初等部1年時に野球を始め、5年からは東京北砂リトルでプレー。世界大会で優勝した。中等部時代は調布シニアで活躍。早実では1年春はメンバー外だったが、今大会では背番号19。180センチ、92キロ。右投げ右打ち。