水沢・高橋4打点 小5で大谷翔平から中前打/岩手

3回表水沢2死二、三塁、右前に2点適時打を放つ高橋(撮影・河野匠)

<高校野球岩手大会:水沢9-1遠野>◇17日◇3回戦◇岩手県営野球場

岩手県25年ぶり公立校甲子園出場を狙うのは、大船渡だけじゃない! 過去3度準優勝の実績もある水沢が、9-1の7回コールドで遠野を圧倒し、14年以来5年ぶりの16強進出を決めた。

「7番・捕手」高橋久明(3年)はエンゼルス大谷翔平投手から“安打”した経験を糧に、先制適時二塁打を含む2安打4打点の活躍。19日の4回戦では、1年生大会、昨秋、今春と3戦連続で敗れている花巻東撃破に挑む。

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左中間に貴重な先制打を放った高橋が、拳を突き上げて笑顔を見せた。無死二塁で外角高めの変化球を捉え「しっかりインサイドアウトのバットの軌道で打てました。お腹に肘をこするくらいのイメージ。すごく憧れている大谷翔平さんの動画を見て研究しています」。同じ右投げ左打ちで、水沢リトルの大先輩を理想に掲げる。金ケ崎シニアでは監督を務める大谷の父徹さんに指導を受け、翔平イズムも伝授された。3回には右前2点適時打、6回にも左犠飛。この日のアストロズ戦で2安打した大谷に続く活躍で勝利を導いた。

小5で初対面した1日は、今でも心と体に焼き付いている。花巻東3年だった大谷が日本ハムにドラフト指名されたことを報告するため、チームの練習に訪れた。そこで打撃投手を務めた大谷から、鋭い中前安打を放った感触は忘れない。「テレビで見たのと同じ投げ方でオーラがすごくて、天井に頭がつきそうなくらい大きかった。あの時のバッティングは理想だし、少し自信になっています」と目を輝かせた。

次は大谷の母校・花巻東と対戦する。「自分たちは花巻東を倒すことを目標に厳しい練習もやってきた。点を取れるイメージは出来ている。あとは常にやるべきことを確認して守備の隙をなくすこと」。過去3戦すべてコールド負けだが、今春の県大会2回戦では6-13と初めて得点を奪った手応えはある。

今春からは昨秋にU18日本代表スタッフを経験した前県高野連理事長の佐々木明志監督(55)が就任し、高校トップ選手のイズムも加わった。同校としては68年、80年、85年と決勝で涙した悲願の甲子園。94年盛岡四以来の公立校代表のニュースを届け、大谷をも驚かせる。【鎌田直秀】