「普通がどんなに幸せか」知っている/コラム

三塁コーチを務める曽我部(撮影・加藤理沙)

<令和のなつぞら>

<高校野球東東京大会:修徳2-1二松学舎大付>◇17日◇3回戦◇神宮球場

二松学舎大付(東東京)の曽我部彪雅捕手(3年)は「普通が一番難しい」という。チーム一、明るい。試合前はブルペンを盛り上げ、試合中は三塁コーチとして声で試合を動かす。しかし、明るさの裏には苦労した過去があった。

小1で母が病死、2年前には野球を応援してくれた父を交通事故で亡くした。「ただいま」と言えば「おかえり」の声がある。家に帰れば夕飯がある。そんな日常が消えた。両親を亡くし「私生活も野球も自分でやらないと」と毎日ベストで生きると心に決めた。「普通がどんなに幸せで難しいか、僕は高校生で知っている。それが評価される部分」と照れながら話した。

野球は高校でやめると決めていた。野球最後の目標は東東京大会の3連覇だったが、まさかの初戦敗退を喫した。3年生にとっては夏初黒星。甲子園出場は当たり前ではなかった。

三塁コーチとして市原勝人監督(54)の指示を忠実に伝える役割を担ってきた。これからは「野球以外も出来るように。目の前にがむしゃらになれ」という監督の教えを大切にする。「ここで野球が出来て良かった。市原監督は僕の一番の監督」。最も慕う監督の元で野球人生を終えた。【加藤理沙】