大商大高・上田大河惜敗「大学進んでプロを」/大阪

涙をぬぐいながら保護者に挨拶する大商大高・上田(撮影・松本直也)

<高校野球大阪大会:大商大堺3-2大商大高>◇20日◇3回戦◇大阪信金スタ

不用意な1球に泣いた。大商大高を春の府大会王者へと導いた今大会屈指の右腕、上田大河(3年)は、6回にマウンド上で自身の異変を感じていた。「フォームバランスがおかしい」。序盤は「いつも通りに投げられていた」が、6回に「こんな感覚ははじめて。冷静さをかいてしまった」と歯車が狂った。1度狂うと、そうそう元には戻らなかった。

6回は、先頭打者を三振に斬った後、続く打者を四球で歩かせ、その後は三振、死球で走者2人を置いて、大商大堺4番三好辰弥(3年)を迎えた。

カウント2ボールからの浮いた直球を捉えられ、バックスクリーン左横へ。「カウントを整えようと投げた1球だった。ここ(大阪信金スタ)は強風で長打が外野フライになりやすい。この打球も上がった時は中飛だと思っていた」と振り返った。ただ、甘いコースに投げてしまったことへの悔いが残った。

上田は、僅差の試合に苦手意識はなく「試合では1点あれば十分と思って投げている」。自信もあった。それだけに「今日は自分のせいで負けた。同じ系列校同士の戦い。負けるわけにはいかないと思っていたのに」と話すと、涙が止まらなかった。

高橋克典監督(34)は「この負けを絶対に忘れるな」と話した。全ては「大学を経て先輩の岡田明丈(現広島)や大西広樹(現大商大)のようなスケールの大きい投手になってほしい」と期待があってのことだ。

「大学に進んでプロを目指す」と語った上田。後輩の前では「高校野球は甘くない」とエールを送った。この悔しさは忘れない。再び飛躍するその時まで。【松本直也】