府中西敗退 捕手再転向の川端は監督に感謝/西東京

府中西対日大鶴ケ丘 府中・川端(撮影・飯岡大暉)

<高校野球西東京大会:日大鶴ケ丘5-3府中西>◇20日◇5回戦◇府中市民球場

心が180度変わった。歴代最高タイのベスト16に進出した府中西の主将、川端優輝捕手(3年)は、自分を変えてくれた小川泉監督(56)に感謝の思いを口にした。

小川監督は今年4月から外部指導者として監督に就任した。川端は「不安だった」と正直に当時を振り返る。監督は他に仕事があり、基本的には土日しか部活に来られない。平日は他部活との兼ね合いでグラウンドの1/4面しか使えず、打撃練習はできない。難しい環境でも「自分たちでメニューを考えた」と自主性が育った。

小川監督も「ほったらかしではなく、やったことを評価した。連絡は密に取った」と短い期間で信頼を築き上げた。川端は、前監督の時は「(チームメートが)授業中うるさかったりして怒られることも多かった」と苦笑いする。新監督は先生ではないため「学校生活が荒れるのでは」と心配した。自分自身も、1年時からメンバー入りし「てんぐみたいになっていた。自分のことしかやらない最悪の人間だった」と振り返る。

ポジション転向がきっかけとなった。春大会前、左手首の骨挫傷を負った。さらに「パンクして打てなくなった」と監督が語るように、精神面でも追い込まれた。大会後に、監督いわく“放牧”のため中堅手に転向させた。川端は「楽しく野球ができた。センターから周りを見ることができた」と重圧から解かれた。

一方で「自分の必要性や責任を初めて知った。今まではダメなキャプテンだった」と反省した。自分の気持ちの変化に、仲間がついてきた。

今大会前に監督から「背番号2にこだわりがあるか?」と打診を受けた。「外野手なら打撃にも集中できる…」心が揺れた。ただ、心の中はすでに主将色に染まっていた。「自分がつぶれても仲間が打ってくれる」とチームメートを信じ、捕手に再転向した。

4打数1安打。2点を追う9回には三振を喫したが悔いはない。「守備も打撃もよかった。(自分に)90点あげたい」と笑顔を見せた。学校生活でも「自分史上最高の優等生になった」と高校生活に胸を張った。

監督には「仕事が忙しいのに、自分たちのために学校まで来てくれた。ありがとう、以外の言葉が出ません」と感謝した。監督は「最高にいいキャプテン。よくがんばった」とねぎらった。帰り際、二人はガッチリと固い握手を交わし、笑顔で球場を後にした。【飯岡大暉】