花巻東・西舘完投で4強 佐々木朗希に刺激/岩手

花巻東対一関学院 9回完投で118球を投げ抜いた花巻東・西館(撮影・たえ見朱実)

<高校野球岩手大会:花巻東9-3一関学院>◇22日◇準々決勝◇岩手県営野球場

連覇を狙う花巻東が、エース右腕・西舘勇陽(3年)の粘投で一関学院を9-3と退けた。12安打を許しながらも8奪三振3失点(自責2)完投。自己最速にあと3キロと迫る147キロの直球に、スライダーやフォークを交えた無四球の内容に、佐々木洋監督(43)からも高評価を得た。今春の東北大会や、今大会初戦の花巻北戦でリリーフに失敗するなど結果が出ていなかったが、フォームを再修正して背番号1の意地を示した。黒沢尻工、一関工、大船渡も4強入りし、3校が公立校となった。宮城は4校が8強進出を決めた。

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西舘は3者連続三振で最後を締めると、大きく息をはいて仲間とグラブでタッチした。今夏初先発で、初回から先制適時打を喫したが、安定した投球フォームで9回を1人で投げきった。「組み合わせが決まった時から、ここがヤマ場だと思っていたし、投げ切る準備をしてきた。野手のみんながしっかり守って助けてくれました」。エースの自覚たっぷりに私学決戦を勝利に導いた。

大船渡・佐々木朗希投手(3年)より先に「新怪物候補」と称されていた逸材だ。腰痛などに苦しんできたが今冬に腰痛は完治。だが、安定感には不安もあった。春の練習試合で150キロを記録したが、東北大会では東北学院戦で救援し、逆転負け。今夏の初戦でも3点リードの場面で登板し、一時逆転を許すなど不本意な内容が続いていた。

球場入りする前の朝練習で佐々木監督の指導も受けて、フォームを修正。試合中もブルペンで微調整しながら、好投につなげた。「前の試合でも立ち投げだった。上体を前にして、リリースポイントを体の前にするイメージを作りました」。これまでは四死球も絡んで大量失点する場面も多かったが、3ボールが5度あっても踏ん張った。同監督も「ヒット数は多く打たれましたけれど、四球もなかったし、すごく良かったと思います。フォームも修正したらすぐに直ったのは彼の能力」と賛辞を贈った。

24日の準決勝では黒沢尻工と対戦する。甲子園常連も夏連覇経験は1度もない。大船渡・佐々木の存在にも刺激を受けている西舘は「朗希くんはまっすぐで三振が取れるのですごい。自分は目の前の打者を1人1人打ち取ることだけを考えたい。最後の夏の意識が悪い方向に行っていたが、少し(マウンドで)余裕が出来てきました」。負のジンクスを破ることが、エースの使命となる。【鎌田直秀】