作新学院「小針采配」の勝負論、信頼より心中/栃木

作新学院対佐野日大2回表作新学院1死満塁、右方向に逆転3点適時三塁打を放つ作新学院・石井(撮影・佐藤勝亮)

<高校野球栃木大会:作新学院15-5佐野日大>◇24日◇準々決勝◇栃木県総合運動公園野球場 

昨秋、今春Vの佐野日大との天王山に8回コールドで圧勝した。

18安打を放ち15得点。小針崇宏監督(36)は「ここ一番での打撃、走塁、守備がまだまだ。少しずつ、さらに勝てるようにしなくてはいけない」と笑顔を見せることはなかった。

「小針采配」には意味がある。昨夏、栃木大会ではベンチ外だった横山陽樹外野手(2年)を甲子園の1番に起用。采配は的中し、横山は先頭打者として大阪桐蔭を相手に2安打を放った。「チームを変えなくてはいけない時もある。甲子園で勝つため、ここだとレベルアップしそうだなと思ったら、人を替えていく」。

できればプロのようにレギュラーが決まって、安定した9人がいればいい。だが「ある程度までは競わせて『明日から使わない』と言って、使ってみたりいろんな競わせ方がある」。でもタイミングは毎年違うが「ここからは任せたぞ。お前しかいない」というのはある。

小針監督は「信頼はする。したい。だが、信用はしない」事を大切な1つとする。普段は信頼する。「1カ月後こうなってくれよ。がんばれよ。こうやって臨むぞ」と120%信頼する。だが「勝負になったら信用しない」。期待はするが、心中できる選手がいなければ信用しない。

過去に信用できた選手はいる。戦いの中で成長し、小針監督の信用をつかみ取った。「今年のチームはまだいない」。4打席で出塁した石井巧内野手(3年)の活躍にも満足はしない。「まだ本来の打撃ではない。でも気持ちの入った打撃でしたね」と評価した。夏が終わるころに、何人の選手を信用できたのか。監督に聞くのが楽しみだ。【佐藤勝亮】