<第101回全国高校野球選手権大会:甲子園練習>◇1日◇甲子園球場
全国高校野球選手権(6日から16日間)の県代表・日本文理(2年ぶり10度目出場)が1日、甲子園練習を行った。
OBの鈴木崇監督(38)とっては97年の初出場時に選手、04年から17年夏までコーチとして踏んだ「聖地」を、今年は初めて監督として訪れた。選手の練習を見守りながら、自らも士気を高めた。3日は組み合わせ抽選が行われ、対戦相手が決まる。
◇ ◇ ◇
大声を出しながら“聖地”の土の感触を確かめる日本文理ナイン。その中で、鈴木監督はグラウンド整備用のレーキを手に歩き回った。
午前11時から各校に割り当てられた20分間の練習で選手はノック、打撃、走塁、投球とあらゆるメニューを行った。鈴木監督はノックをコーチ陣に任せ、塁間やマウンド付近を整えては選手に声をかけた。
そして中堅の奥に向かった。「バックスクリーンの前には行ったことがなかったので」。97年夏、春夏通じて甲子園初出場時は2年生の二塁手で2番打者。大学卒業後の04年からはコーチとして夏7度、春5度、甲子園にやってきた。甲子園練習ではすべてノッカーを務めた。一昨年秋に監督に就任し、今回は母校を率いる立場。初めてノックをしなかった。ノッカーの時は見られなかった外野最深部からの光景を目にするためだった。「スタンドや銀傘の大きさ。やはりいいですね」と感慨に浸った。
もちろん浮かれた気持ちはない。むしろ冷静だ。「それぞれの立場で甲子園に来たけど、今までとの違いが分かるのは試合になってからでしょう」。監督になったからと言って、無理やり変化を考えようとは思っていない。今、目に映る感覚を大切にする。試合に生かすため、まず後ろからの広さを頭に入れた。
選手にも伝えた。「私が口で言うより、目で見て感じて欲しい」。指揮官の思惑を選手は感じ取った。「観客席が低くて視線に入る。人工芝のように強い打球が来る」。長坂陽主将(3年)はポイントをチェックした。「周りを見る」(長坂主将)をテーマに持ち時間を使った。目の前の1球、その時の1戦に集中して県大会を勝ち抜いた。その感覚は甲子園練習にもつながっている。
22年前の夏、初の甲子園で日本文理は初戦2回戦でこの年の優勝校・智弁和歌山に6-19で敗れた。鈴木監督は初回に生還。日本文理の甲子園初得点者になっていた。監督として迎える今、「“初めて”がまだ残っている」。県勢初優勝を見据えた。【斎藤慎一郎】
▽エース南隼人投手(3年)は甲子園のマウンドから10球投げ込んだ。球種はすべて直球。「思ったより投げやすかった」と好感触を得た。スタンドが低く、視線の先に観客席があるつくりの球場での試合は新潟では経験がない。元ヤクルト投手で外部指導者のOB本間忠コーチ(41)からは視界を確認するようにアドバイスを受けていた。「そこも気にならなかった」とすぐにフィットしてみせた。
◆鈴木崇(すずき・たかし)1980年(昭55)8月29日生まれ、五泉市出身。山王中から日本文理へ。97年、日本文理の夏の甲子園初出場度時は2年生の正二塁手。3年時は主将。東洋大に進み、卒業後の04年から日本文理野球部コーチを務めた。