旭川大高・能登1失点で涙 大学で奥川レベル目指す

星稜対旭川大高 星稜に敗れた旭川大高・能登(撮影・栗木一考)

<全国高校野球選手権:星稜1-0旭川大高>◇7日◇1回戦

またも1点届かず-。第101回全国高校野球選手権(甲子園)で北北海道代表の旭川大高が、優勝候補の星稜(石川)に0-1で惜敗した。

エース能登嵩都(3年)が、9回9奪三振1失点で完投。3回以降は石川大会5戦11本塁打の強力打線を抑え込む好投を見せたが、打線が大会屈指の右腕、奥川恭伸(3年)相手に3安打無得点と援護できなかった。昨夏のタイブレーク敗戦に続き、最少得点差での敗退となった。

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能登がドラフト1位候補に負けじと、この夏、最高の投球で、甲子園をわかせた。8回2死一、二塁のピンチ、キレのあるチェンジアップで三振を奪い、「うぉ~」と雄たけびを挙げた。2回に1失点も、強力打線相手に、3回以降は無失点と初の聖地で快投した。「自分の投球はできた。でも、相手は奥川君という注目の投手だったし、絶対に負けたくなかった。2回に四球で出した走者をかえしてしまったのが、悔いが残る」と涙をぬぐった。

北海道では最速144キロの直球を主体とした投球を武器にしてきたが、今大会屈指の難敵を倒すために「いい投手はチームを勝たせられる投手。打者のレベルも上がるので、いつもは半分ぐらいの変化球を6割ぐらいに増やした」。女房役の持丸と相談し、チェンジアップ、スライダーを多用して9奪三振。持丸は「これまでで最高の投球」と絶賛した。打線は奥川に3安打に抑えられ1点差負け。端場雅治監督(50)は「1点差は監督の責任。奥川君には手も足も出ないわけではなかったが、要所で1本が出なかった」と無念の表情も、「能登は上出来。100点満点」とたたえた。

今後は大学進学を考えており、4年間鍛えた後、先輩の沼田翔平(巨人育成)の背中を追いプロを目指す。日本ハムの白井康勝スカウト(50)は「変化球のコントロールがすごく良かった。投げてて楽しかったのでは。体ができて球威も増してくれば、面白い投手になると思う」と評価。183センチの身長に長い手足を生かした投球で、さらに球速が上がれば十分に可能性はある。能登は「奥川君のレベルに近づくため、直球で三振を取れるような投手になりたい」と前を向いた。

冬場はレンジャーズのダルビッシュをまね、メディシンボールを使った体重移動のトレーニングで制球力が上がった。「僕はまだまだこれから。もっといろんなことを取り入れて、沼田先輩を超える投手になりたい」。聖地での快投を自信にして、次のステップに挑む。【永野高輔】