筑陽学園 9回2死走者なしから同点劇も延長惜敗

作新学院対筑陽学園 9回裏筑陽学園2死一、二塁、石川は同点右越え2点三塁打を放ちガッツポーズで二塁に向かう(撮影・上山淳一)

<全国高校野球選手権:作新学院5-3筑陽学園>◇11日◇2回戦

筑陽学園(福岡)が、9回に起死回生の同点劇を演じながら、延長戦の末に敗れた。

2点ビハインドで迎えた9回2死走者なしから、内野安打、中前打で2死一、二塁のチャンスをつくると、8番打者・石川湧喜外野手(3年)が、右翼越えへの2点適時三塁打。奇跡の同点劇に甲子園がどよめいた。

延長10回表に2点を奪われ、敗れはしたが、春夏連続甲子園出場の意地を見せ、筑陽学園の粘りの野球も発揮した。石川は「センバツは自分が最後の打者で負けたんで、なんとかつなごうと思った。打った球は覚えてないですけど、フルスイングしました。悔いはありません」とさわやかに振り返った。

江口祐司監督(56)は「選手は互角の戦いを演じてくれた」とナインの健闘をたたえた。先発して10回を投げ151球、5失点完投のエース西舘昂汰投手(3年)は「もう、このメンバーで野球ができないと思うと悔しい。相手校歌を聞いて初めて負けた実感がわきました」。唇をかみしめたが「高校最後の試合で、こんないい試合ができるとは思わなかった」と涙はなかった。

樟南(鹿児島)で夏甲子園準V右腕の福岡真一郎氏(42)の長男、大真外野手(3年)は、4番として挑んだ夏は4打席凡退で終わった。「相手投手の緩急にやられた。少し力みはありました。でも甲子園では楽しめました」と悔しさを押し殺していた。

プロ注目バッテリー、西舘と進藤勇也捕手(3年)は、ともに大学進学希望を口にした。「この経験を大学で生かしていきたい」。西舘の言葉は、大学進学予定が多いレギュラー全員の気持ちを代弁していた。【浦田由紀夫】

▽筑陽学園・中村(夏甲子園V経験の寿博氏の次男は夏初戦敗退に)「今度は自分が中心となる。100%自信をもって甲子園に戻ってきたい」