作新学院・福田「想定内」土壇場で迷いなく二盗三盗

作新学院対筑陽学園 10回表作新学院無死二塁、二走福田は三盗を決める、右は三塁手福島悠介(撮影・上山淳一)

<全国高校野球選手権:作新学院5-3筑陽学園>◇11日◇2回戦

同点に追いつかれ延長に入ってもなお、作新学院は攻めの姿勢を崩さなかった。「すぐ攻めよう」と小針崇宏監督(36)は選手たちを10回表の攻撃に送り出した。

一塁には左前打で出塁した福田真夢外野手(3年)。小針監督からの盗塁のサインに福田は「日ごろから練習していること。迷いはなかった」と心を決めた。初球で二塁へ。さらに、ヒットエンドランのサイン。「何度も練習してきたことで想定内」と2-2のカウントから空振り三振の間に走りだし、三塁へヘッドスライディング。絶妙なタイミングだったが、わずかに手が早く三塁にタッチし、セーフに。「これで流れがきたと思った」。その狙い通り、続く中島義明内野手(3年)は一、二塁の間を抜ける適時打に。福田が一気に本塁を駆け抜け勝ち越した。

延長に入り、1プレーが左右する大事な場面で流れを引き寄せる三盗。福田は「自信がないとできませんから」と胸を張った。

小針監督は「気持ちの勝負、体力勝負だと思っていた。ウチの選手たちならいける。強気で攻めようと思いました」と振り返った。

強打が持ち味の作新学院だが、積極的な走塁も日々の練習で欠かさず練習してきた。勝ち越し打を打った中島は「次の塁を狙うのは、チームとして心がけていること。自分たちでヒットエンドランのサインや、アイコンタクトはできるように練習してきた。打順の1番から6番まではノーサインでも行けたら行けと自分たちの判断に任されている」と明かし「福田が三盗してくれたから振りにいけた。あのワンプレーが大きかった」と振り返った。

果敢な盗塁をきっかけに勝ち越しに成功した。強打を武器に勝ち上がってきた県大会に積極的なプレーも武器に、16年全国制覇以来の夏1勝を挙げた。福田は「次はもっと投手陣を楽にさせてあげられる攻撃をしたいです」泥だらけのユニホームでニッコリ笑った。