プロ入り前の落合博満氏、秋田工の監督候補だった

「育成功労賞」を受賞し記念撮影に臨んだ加藤さん(前列左端)。後列左端は日本高校野球連盟の八田会長(撮影・野上伸悟)

20年以上にわたり高校野球の育成と発展に貢献した指導者に対し、日本高校野球連盟などから贈られる「育成功労賞」の表彰式が15日、大阪市内のホテルで行われた。東北地区からは6人が選ばれ、秋田工と男鹿工で30年、監督を務めた加藤秀夫さん(64)が同地区代表で出席した。

当初は甲子園で第1試合終了後に行われる予定が台風の影響で中止となり、「教え子たちもお祝いに来てくれる予定だったので、できれば甲子園でもらいたかった」。それでも「自分は野球しかやってこなかった。こんな素晴らしい賞をもらって本当にうれしい。これからも秋田の野球に尽力したい」と喜びを口にした。

秋田工を卒業後、母校のコーチを務めていた79年、当時の県高野連理事長だった安藤晃部長(故人)から監督を打診された。「1学年先輩で東芝府中にいた落合さん(博満、元中日監督)がいいですよ、って断ったんだけどね。『落合はもっと大きいところでやる男だ』と言われちゃってさ」。甲子園出場はかなわなかったが「1回戦で負けても思い出は一緒。つらいと思ったことは1度もない。毎日グラウンドに行くのが楽しみで仕方がなかった」と情熱の指導を続けてきた。12年夏を最後に退任したが、今でも多くの教え子が加藤さんを慕ってくる。

東北地区からは青森・石岡和広さん(故人=元弘前監督)、岩手・高野尚介さん(73=元岩谷堂監督)、山形・坂本浩二さん(58=現谷地監督)、宮城・一條博之さん(63=元仙台商軟式部長)、福島・作山博邦さん(71=元富岡川内監督)も選ばれた。【野上伸悟】