奥川攻略は「高め」履正社2年生コンビが粘って起点

履正社対星稜 3回表履正社2死一塁、小深田は四球を選ぶ(撮影・上山淳一)

<ザ・ピンポイント>

<全国高校野球選手権:履正社5-3星稜>◇22日◇決勝

奥川攻略の突破口は履正社の左打ち2年生コンビが開いた。1点先取された直後の3回。2死走者なしから2番池田凛内野手、3番小深田大地内野手が連続四球を選び、井上の逆転3ランにつなげた。2人ともスライダーを見極め、ボールカウントを稼いだ。

池田は初球とカウント2-2からの6球目。ともに外に抜けるスライダーを見送った。初回の第1打席でチェンジアップを三塁打。得点には至らなかったが、「変化球が見えてました」という自信があった。

小深田は初球直球をファウル後、3球連続で膝元に落ちるスライダーにバットを出さなかった。「内角攻めは頭に入ってました。インのスライダーを切るのがテーマでした」と話した。

伏線は今春センバツにさかのぼる。1回戦で17三振を献上し0封負け。池田と小深田も2三振ずつ喫した。フォークやチェンジアップにもてこずったが、「奥川さんの球種が頭に入りました」と声をそろえる。敗戦の中で貴重な生データを得ていた。チームとしても、追い込まれてから粘ることを追求。実戦練習の中で選球眼を磨いた。8球粘って四球を奪った池田は「対応力は意識で変わります」と、誇らしげに言った。

この日のチーム方針は「低めを捨て、高めを打つ」。球種より、高低で縛った。井上の3ランは高く浮いたスライダーを捉えたもの。低めのボールになるスライダーは捨てた結果、全127球のうち、スライダーに空振りしたのは、わずか4球。敗戦を糧に徹底力を身につけ、大会NO・1投手の武器を封じた。その取っ掛かりとなる2四球だった。【古川真弥】