佐々木朗希の抑え可能性も 大魔神ばりフォーク締め

9回、4番手で登板し力投する佐々木(撮影・垰建太)

<U18高校日本代表合宿:練習試合>◇24日◇東京都内

大魔神仕様の佐々木で日の丸デビューだ! U18W杯(30日開幕、韓国・機張)に出場する高校日本代表が24日、都内で駒大とダブルヘッダーの練習試合を行い、最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手(3年)は第1試合の9回に登板。9球団25人のスカウトが視察する中、元横浜守護神・佐々木主浩氏(日刊スポーツ評論家)のようにフォークで三振を奪い1回無失点に抑えた。

W杯本番でもクローザーを務める可能性が浮上。26日には大学日本代表との壮行試合(神宮)が行われる。

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佐々木がマウンドに君臨した。5点差の9回が、日の丸を背負って初の実戦登板だ。中学以来のクローザー。「先発と違って自分のリズムを作れないので、難しいところもありました」。先頭の3番打者に4球連続で150キロ台の速球を投げ込み、うち2球は空振り。いつもの自分を思い出していった。

最後はフォークを落とし、空を切らせた。スカウト陣が「スライダー?」と見間違えるほど、相手左打者の膝元に食い込むように落ちた。「どう落ちるか分からない」と捕手の水上さえ幻惑させる魔球で、日本代表として最初のアウトをとった。その後四球を許すも、打者4人に15球でゲームセット。自己採点は「60点」としながら「ゼロに抑えたのはすごくいいこと」と満足そうに話した。

侍デビューであり、全国デビューでもあった。緊張もあった。うわさを聞いて駆けつけた東京の野球少年たちが「佐々木くん、佐々木くん!」と連呼しながら、ハイタッチを熱烈に求めてくる。のんびりした岩手の球場とは空気が違う。

ブルペンで「朗希、頑張れ!」と声をかけられ、目を見開いた。高校のチームメートの父、木下清吾さん(52)が応援に訪れていた。「笑える雰囲気じゃないですよ」と返しながら、見知った顔に表情が崩れた。地元の応援に支えられ、世界へ歩み出した。

日本代表として求められる役割は、果たして。永田裕治監督(55)は「まだ考えていない」と慎重に話した。この日は最速153キロをマークした速球に、フォーク、岩手大会で空振りを量産したスライダーやチェンジアップ。緊迫の試合終盤への資質は十分だ。「まだまだ完璧じゃないので、これに満足しないで高めていきたいです」。佐々木の完璧は、参加各国にとって「難攻不落」を意味する。【金子真仁】