札幌大谷V2へ好発進 主将佐藤が夏の敗戦糧に満弾

札幌平岸対札幌大谷 2回札幌大谷2死満塁、5番佐藤が右越えに満塁本塁打を放ち生還する(撮影・永野高輔)

<高校野球秋季北海道大会:札幌大谷12-0札幌平岸>◇11日◇札幌地区Eブロック2回戦◇麻生球場

昨秋の全道大会を制した札幌大谷が、札幌平岸を12-0の5回コールドで下し、2連覇へ向け好発進した。

4点リードの2回に新主将の5番佐藤颯馬三塁手(2年)が右越え満塁弾を放ち、一気に突き放した。春夏連続甲子園を狙った今夏の南北海道大会は初戦敗退。この日2安打5打点の活躍で勝利に導いた新リーダーを中心に出直し、2年連続のセンバツ切符を目指す。

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秋雨を切り裂く強烈な1発だった。4-0で迎えた2回無死満塁、佐藤は初球の外角変化球に迷わず反応。鋭いスイングから放たれた打球は一気に右翼スタンドへ運ばれた。通算7本目、公式戦では今春地区予選で東海大札幌の最速145キロ右腕鈴木一茶(3年)から放ったバックスクリーン弾以来2本目。「みんながつないでくれた。自分も後ろにつなごうと意識し、それがいい形で本塁打になってくれた」と振り返った。

この回、一気に8点を挙げると3回2死一、三塁では中前適時打を放ち、この日2安打でチーム最多5打点をたたき出した。夏の南大会初戦の駒大苫小牧戦は、7回1死一塁で右飛、9回1死一、二塁のチャンスでは三振に倒れ、チームも2-6で敗れた。好機で結果を出せなかった悔しさを糧に、練習に励んできた。新リーダーとしての初陣で結果を出し「この秋、もう1度優勝することが自分たちの最低の目標。そのためにみんなで力を合わせて1つ1つ勝ち上がっていきたい」と意気込んだ。

前チームは昨秋の明治神宮大会を制し、今春センバツで1勝を挙げた。歴史を変えた先輩たちとの力の差に思い悩んでいた夏場、飯田柊哉前主将(3年)から「過去のことは気にせずに自分たちの色を出していけばいいんだよ」と諭された。「その言葉で吹っ切れた。力はないけど、声や元気で負けないチームをつくろう」。ミーティングの最後には、指名された選手が一発芸をするなど、ムードを明るくするための取り組みにも力を入れた。

主将に指名した船尾隆広監督(48)は「現2年生は32人と多く、まとめるのは難しい。その中でベンチ外の同学年の意見を聞き、最も信頼があると感じたのが佐藤。主将になり、より周りのことを考えられるようになった」と評価する。大役を担い成長し続ける新主将を中心に、再び王座を取り戻す。【永野高輔】

◆5回1死三塁で代打出場し公式戦初打席で右越え本塁打を放った札幌大谷・富川温登一塁手(2年) 緊張したが、練習はたくさんやってきたので、思い切っていこうと打席に立った。次もチャンスがきたらチームの力になりたい。

◆順延 11日に札幌円山で予定されていた札幌啓北商-札幌日大は、3回表終了時点で降雨ノーゲームとなり、12日に順延された。野幌総合運動公園で午前10時半開始予定。