巻が4強、右肩故障の背番1中川3安打「支えたい」

村上桜ケ丘対巻 4-1の7回2死三塁、大岩の左前打で、三塁から叫びながら生還する中川一塁手

<高校野球秋季新潟大会:巻6-1村上桜ケ丘>◇23日◇準々決勝◇新発田市五十公野公園野球場

巻が村上桜ケ丘に6-1で快勝。背番号1をつける中川智樹左翼手(2年)が二塁打2本を含む3安打で暴れた。準決勝は28日、三条パール金属スタジアムで行われる。   

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背番号1をつける中川が投球できない悔しさをバットにぶつけた。二塁打2本を含む3安打。「バッティングでしかチームに貢献できない」と打撃でチームを4強に導いた。右肩故障を押してマウンドに上がったのは1回戦の新発田商戦での8、9回の2イニングだけ。「大事な大会に投手が1人欠けて申し訳ない」という思いもバットに乗せた。

秋季大会直前に中川は食中毒に見舞われた。40度以上の発熱もし、約1週間練習ができなかった。「発病して2、3日は1日1回のゼリーと薬を口に入れるだけだった」。練習合流は大会開幕2日前。遅れた分を取り戻そうと投げ込みで多投して肩を痛めた。「背番号1をもらっちゃったけれど、(1回戦から先発する)村井(孝輔=2年)に譲らなければと思う」。

そんな思いを背負っての打席。右肩には入念なテーピングを施して出場。「テーピングのおかげで(バットが)振れた」と176センチ、80キロのパワーでマルチ安打を放った。優勝まで2試合。「打での貢献と、声を出してチームを支えたい」と投球以外は、何でもやる覚悟だった。【涌井幹雄】