白樺学園・坂本が胴上げ投手 元プロ指導で投球確立

白樺学園対札幌日大 9回裏、優勝を決め叫ぶ坂本武(撮影・黒川智章)

<高校野球秋季北海道大会:白樺学園12-8札幌日大>◇13日◇決勝◇札幌円山

エースから甲子園の夢を託されて上がったマウンドに最後まで立ち続けた。白樺学園・坂本武は最後の打者を内角直球で空振り三振に仕留めると、雄たけびを上げて両手を天に突き上げた。仲間にもみくちゃにされ、喜びをかみしめる。「目標が達成できた。とにかくうれしい」。十勝勢初の快挙を背番号10がたぐり寄せた。

想定より早く出番が回ってきた。4回1死一、三塁。6失点の先発、片山の後を継いだ。悔しさのにじむエースの「任せたぞ」の短い言葉に発奮し、後続をシャットアウト。5回に2点本塁打を許したが、6回以降は2度得点圏に走者を許しても本塁を踏ませなかった。

紋別市出身。17年夏の北北海道大会決勝を観戦したことがきっかけで十勝の同校に入学した。今秋までベンチ入りはできなかったが、中学時代に指導を受けた元日本ハム浅沼寿紀氏(30)の教えを守り地道に下半身の強化を続けてきた。上手から8月に横手投げに挑戦。「まっすぐで押せた。制球も上がった」。安定した土台があったからこそ、最速136キロの直球を軸にする今の投球スタイルを確立できた。

「どっちも好き」という打者としても2安打4打点。約4時間かけ地元から訪れた父孝さん(50)と入学前に交わした「甲子園に連れて行く」という約束も現実味を帯びてきた。秋王者として見据えるは全国舞台。坂本武は「まず神宮で結果を出したい」。大きな自信を胸に次は全国1勝を目指す。【浅水友輝】