履正社V導いた岡田監督「スパルタ方式は一方通行」

講演後、ヤクルト2位の吉田(左)から花束を受け取る履正社・岡田監督(撮影・古川真弥)

指導者も学ぶべし-。履正社・岡田龍生監督(58)が14日、母校・日体大のOB総会で経験を語った。

現役生を含む約250人に講演。苦い経験が変わるきっかけだった。01年、ミーティングで部員に手を出し、半年の謹慎処分を受けた。グラウンドに行けない期間、「もう同じことはできない。どうすればいいのだろう」と自問自答したという。行き着いたのは「スパルタ方式は一方通行。それでは、積極的に自分でやろうという姿勢は身につかない」ということだった。

自らの高校時代を振り返った。「私もスパルタ式の指導を受けたが、それだと、どうやって手を抜くか、ということばかり考えてしまう。それでは、積極的に自分でやるということは身につかない」。復帰後は部員1人1人との会話を重視した。「子ども自身に出来るだけ話をさせようと。考えていること、今していること、具体的な目標を話させました。双方向の指導に変えたんです」。

徐々に変化を感じたという。同時に、コーチ、トレーナーら指導者同士の情報共有を徹底した。「生徒に、監督の前では違う振る舞いをさせないように。二面性を持たせてしまうと、伸びを止めてしまう。誰でも同じように見ていると思わせるのが大事です」。

同校には寮がない。保護者との面談も行い、各家庭と歩調を合わせ、部員のケアを行った。それらの取り組みが今夏の甲子園優勝につながった。「教える者は学ぶ者でないといけない」という川上哲治氏の言葉も紹介。「監督は組織と心を1つにして、常に向上していかないといけない」と結んだ。