昨夏甲子園、日本文理エース種橋諒が“夏連覇”導く

夏の大会“実質”の連覇を狙う日本文理

昨夏の甲子園出場校・日本文理の種橋諒投手(3年)にとって県高校夏季野球大会はリベンジの場になる。昨秋の県大会は初戦の2回戦・東京学館新潟戦に先発して4失点。5-7で敗れた。最後の夏、甲子園にはつながらなくても、実質的な「連覇」にチームをけん引することで屈辱を晴らす。

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しなやかな投球フォームも、繰り出される最速143キロの速球も、すべて最後の夏に頂点に立つために種橋が磨いてきた武器だ。日本文理の初戦は24日の2回戦・万代戦。「どこと対戦しても1つ1つ勝ち上がっていくだけ」と準備に励む。

5日の新潟明訓との練習試合では2番手で2回を投げ、1死球の無安打。「追い込んでからコースを突いた。納得できる投球」と手応え。鈴木崇監督(39)も「勝負どころの制球はいい。試合を作れる」と信頼を置く。

夏の甲子園が中止され、2年連続出場はなくなった。独自大会は、夏の甲子園につながる選手権とは別の大会だが、日本文理ナインにとって“夏連覇”のターゲットであることは同じ。種橋も「絶対に負けられない」と気持ちを込める。

昨秋の県大会、日本文理は初戦の2回戦で東京学館新潟に敗れた。87年夏の2回戦・直江津戦以来、32年ぶりの初戦敗退だった。種橋は先発し4回4失点。四球に失策が絡んで崩れた。

「負けてはだめ、と自分を追い込んだ」。冬場、メンタルトレーナーの指導でマウンドでの心理を学んだ。「俺たちが負けるはずがない。簡単に打たれるわけがない」。180度違う意識の持ち方を身につけた。身体的にもレベルアップ。筋トレと1日5キロの走り込みで昨夏から体重は6キロ増加した。昨夏のエース、南隼人投手(19=新潟医療福祉大1年)とLINEで連絡を取り合い、練習方法などアドバイスも受けた。

昨夏の甲子園ではベンチ入りした。再びその場に身を置くことはできないが、成長を見せることで自身の高校野球に決着をつける。「県の頂点に立ちたい。勝ちにこだわる」。プライドをかけてマウンドに上る。【斎藤慎一郎】

◆種橋諒(たねはし・りょう)2002年(平14)5月5日生まれ、柏崎市出身。田尻小3年から野球を始める。柏崎東中では全日本少年軟式大会県予選でベスト8。日本文理では1年秋に初めてベンチ入り。昨夏の甲子園でもベンチ入りした。180センチ、82キロ。右投げ左打ち。

◆夏の“連覇”を狙うチームの雰囲気を平野貴史主将(3年)は「1日1日、成長しようとしている」と話した。「どこが相手でも勝つための準備をするだけ」と平常心で臨む。昨秋の初戦敗戦でチームの結束の大切さを学んだ。「ミスが出てもカバーしあうこと」と気持ちを1つにして夏の覇者を目指す。