帯広農新チーム始動、交流試合の「経験生かしたい」

ランニングする帯広農ナイン(撮影・浅水友輝)

甲子園交流試合で白星を挙げた帯広農は20日、帯広市内の同校グラウンドで新チームが始動した。新主将に指名された佐伯柊遊撃手(2年)ら甲子園で明治神宮大会準優勝の高崎健康福祉大高崎(群馬)を破った先発メンバー4人を含む選手31人でスタートした。この日、北海道高野連は秋季大会を開催することを発表。帯広農は十勝地区大会(9月12日開幕、帯広の森)に向け、チームを仕上げていく。

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聖地初勝利の熱狂が冷めやらぬ中、帯広農の甲子園を目指す戦いが再び始まった。3日間の短いオフを挟んで新チームが始動。この日、新主将に指名された佐伯は「新チームとして開始するのは遅くなったけど、言い訳にすることなく、短い時間でも自分たちが通用することを見せつけたい」。秋季大会に向けて、余韻にひたっている時間はない。

新チームには甲子園の土を踏んだ主力が4人残った。4打数3安打1打点と打線をけん引した佐伯新主将のほか、1番で出場した西川健生三塁手、守備の要、村中滉貴、渋谷悠稀両捕手(いずれも2年)が副主将としてチームを支える。甲子園交流試合の出場で始動こそ遅くなったが「経験を生かしたい」と佐伯。目標は「秋季全道出場」「選抜出場」の2つに設定した。

甲子園では昨秋の関東王者、高崎健康福祉大高崎を小技を絡めて4-1で下した。道勢の公立校では13年センバツの遠軽以来7年ぶりの白星。前田康晴監督(44)は「スーパースターがいなくても高校野球は何が起きるか分からない」と振り返る。指揮官はこの日の練習でも1つ1つのプレーについての精度を求め、厳しく指摘した。佐伯は「苦しい練習の成果が結果に出ていた」。地道な練習の積み重ねで全国でも戦えることを実感した経験は何よりも大きい。

来月12日開幕の秋季大会までには、今月22日の新チーム初実戦(帯広大谷、帯広三条)から毎週末に練習試合を組み込んでいく。昨秋全道は4強で今春センバツの21世紀枠選出につなげた。ランニングでも足をそろえて走ることを徹底するなど初日から新チームで独自色を見せた佐伯は言った。「1人1人しっかりと声を出して良い雰囲気で来ている。秋に向けてしっかり頑張りたい」。マネジャー含む部員35人で、再び聖地を目指す。【浅水友輝】

○…プロ注目左腕、下慎之介投手(3年)を擁する高崎健康福祉大高崎を破っての甲子園初勝利は、4日経っても反響は続いていた。前田監督は「メールだけでも2、30件。『感動した』と道内外問わず、福岡とか(対戦校の地元の)群馬とかからも来ました」と反響の大きさを語る。野球部員初登校のこの日、佐伯新主将のクラスでは保健体育の授業で野球部の活躍を報じる新聞を題材に授業が行われ、「クラスでも『おめでとう』と祝福されました」と喜んだ。