大崎中央151キロ右腕・氏家はNPBドラフト一本

同校初のプロ入りを狙う大崎中央・氏家(撮影・相沢孔志)

プロ志望高校生合同練習会が5、6日、東京ドームで開催される。大崎中央(宮城)の最速151キロ右腕・氏家蓮(3年)は、進路をNPBのドラフト一本に絞った。

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昨秋の最速144キロから7キロを更新した氏家は今夏、リリーフで2試合に登板した。初戦(2回戦)の松島戦は5回3失点。続く佐沼戦は3点差を追う7回から救援し、3回を無失点に抑えたが1-4。3回戦で最後の夏を終えた。「自分が流れを持ってくる投球ができなかった。チームを勝たせられなかった悔しさが大きい」と唇をかんだ。

小学4年時に野球を始める際は、祖父実さんが道具一式を購入してくれ、野球人生が始まった。しかし昨秋に実さんが体調を崩し、一時は入院。現在は自宅で療養している。「祖父が試合を見に来られない分、テレビを通して、自分がプロで活躍する姿を祖父に見てもらいたい」。プロ入りの思いを胸に、大会後は課題の体重移動を矯正。体幹トレーニングやスクワットなどで下半身を整え、投球練習前にはチューブトレーニングを入念に行った結果、「右股関節に体重が残り、リリースも安定した。受けた捕手からは(速さは)151キロを出した時と同じくらいと言われた」と、状態を仕上げてきた。

高校最後の登板機会は、氏家と同様にプロ入りに燃える全国の猛者たちだ。平石朋浩監督(33=写真は東北題字)は「相手打者に向かっていく姿勢を出して、強く腕を振って、今までの思いを1球に込めてほしい」と願った。氏家は「自分の引き出しを全て出して、周りの雰囲気にのまれずに、体を大きく使って投げたい」と気持ちを高めた。171センチと小柄でも気迫あふれる投球を披露し、夢の扉を開く。【相沢孔志】

◆氏家蓮(うじいえ・れん)2002年(平14)4月13日生まれ、宮城・栗原市出身。姫松小(現一迫小)4年時に一迫山王クラブで野球を始め、栗原西中では軟式野球部。2、3年時は栗原市選抜に選出された。大崎中央では1年夏からベンチ入り。同秋は県3位で東北大会に出場し、16強進出に貢献。右投げ右打ち。50メートル走6秒5、遠投100メートル。171センチ、73キロ。家族は父、叔母、祖父母、曽祖父母。好きな選手はヤンキース田中。

◆プロ志望高校生合同練習会 日本高野連と日本野球機構(NPB)が主催。新型コロナウイルスの影響で春のセンバツ、夏の甲子園と地方予選が中止になったことを受け、高校3年生のアピールの場として開催される。プロ志望届の提出が参加条件。5、6日の東日本会場には41人が参加予定。東北から他にも、山形中央から3年連続のドラフト指名を目指す太田大和(写真右)、最速143キロの学法福島・辻垣高良(同左)の両左腕が参加。8月29、30日の西日本会場(甲子園)には77人がエントリーし、投手と野手が対戦する形でシート打撃などが行われた。視察にはNPB、大学、社会人、独立リーグの関係者が訪れた。