白樺学園16年連続の全道切符 宍倉主将サヨナラ打

帯広柏葉対白樺学園 16年連続の全道大会出場を決めた白樺学園(撮影・永野高輔)

<高校野球秋季北海道大会:白樺学園4-3帯広柏葉>◇21日◇十勝地区Bブロック代表決定戦◇帯広の森

十勝、旭川、名寄地区で代表決定戦が行われ、十勝地区は、昨秋全道王者の白樺学園が帯広柏葉を4-3のサヨナラ勝ちで下し、16年連続の全道切符を獲得した。3-3の9回裏2死一、三塁で、主将の宍倉隆太遊撃手(2年)が左前適時打。全道2連覇への挑戦権を獲得した。道内10地区20代表が出そろい、全道大会は24日に代理抽選で組み合わせが決定、10月4日に札幌円山ほかで開幕する。

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王者の重圧をはね除ける、爽快な一打だった。9回2死一、三塁、宍倉は迷わず初球を振り抜いた。「投手陣が頑張ってくれていた。ここまで厳しく言ってきた自分が決めないといけない」。快音を響かせた打球は左前へ。外野に抜けるのを確認すると、右拳を天に掲げ一塁を駆け抜けた。

中盤以降は完全に相手ペースだった。3-0から1点を返された直後の4回裏、先頭打者が出塁するも併殺で無得点。5回表に2点を失い追いつかれる。7回1死一塁のチャンスは再び併殺で無得点。追い詰められる中、新リーダーに動揺はなかった。「甲子園で学んだ。どんな場面でも最後まで1球への集中を忘れちゃいけない」。現チームで唯一主力として出場した8月の甲子園交流試合は、慣れない大舞台の雰囲気にのまれ無安打。屈辱の経験が、土壇場で貴重な一打を生む心の強さにつながった。

鬼の主将としての自覚も、サヨナラ打を含む3安打1打点という結果に、現れた。9月2日に新チームが始動。新主将に就任した際、常に優しい前主将の業天汰成(3年)とは異なり「嫌われるぐらいのつもりで言っていく」と所信表明した。練習中に集中を欠いたプレーがあれば、即座に止めて、個人名を挙げ厳しく指摘。「自分にも周囲にも厳しくしてきた」。主将初戦の帯広工戦は3打数無安打も、勝負の一戦でしっかり代表切符を引き寄せた。

大好きな祖父のためにも負けられなかった。試合前日、09年に札幌第一で甲子園を経験した兄翔太さん(26)からメッセージが届いた。「全道に行ってじいちゃんを元気づけてくれ」。祖父杉本正人さん(76)が8月下旬に心臓を悪くして入院。体調が思わしくなく手術を繰り返していた。「何とか元気になって、また試合を見に来てもらいたい」。まず全道連覇を成し遂げ、今度こそ聖地で爆発する姿を見せる。【永野高輔】

▽白樺学園・戸出直樹監督(44)「序盤は1年生が頑張り終盤は2年生が粘り強く勝利を引き寄せてくれた。出場辞退せざるをえなかった帯広緑陽の分も、しっかり戦わないといけない」