甲子園最多68勝の智弁和歌山・高嶋仁名誉監督(74)が14日、甲子園で2季ぶりに行われる第93回選抜高校野球大会(19日開幕)開催への感謝を語った。新型コロナウイルス感染拡大に努めながら大会を行う主催者の労苦を思いつつ「春はセンバツから、と言われるように、日本の世の中に流れが戻ってくる。難しいことだと思いますが、よくやってくださったと。高校野球に携わってきた者としては感謝しかない」と明かした。
高嶋名誉監督にとっても、昨夏は忘れられない夏になった。8月に甲子園で行われた甲子園高校野球交流試合。新型コロナウイルス感染拡大で昨春の選抜大会が中止になり、甲子園の土を踏めなかった全32校が招待された。1試合だけ甲子園で戦った。勝っても次のない大会。どんな試合になるのか、予測がつかなかった。それが…。
「どのチーム、どの選手を見ても、必死にやっていた。いい試合ばかりでした。やっぱり、甲子園はやらなあかんのや、と思った大会でした」。通常の春夏と違い、優勝という目標がない大会だった。それでも、勝ち負けを超えるものを求めて白球を追う球児の姿に、甲子園最多勝監督も胸を熱くした。
普段とは違う形態になっても今春、球児の希望の大会が復活する。2年ぶりの春に、気持ちも弾む。
この日は奈良・御所市で行われた少年野球の「奈良葛城ボーイズ/JFK」の野球教室(奈良・御所市)に参加し、小学生チームに講演。同チームの米田保伸総監督、山口哲治技術コーディネーターは、智弁学園(奈良)監督時代の教え子。この教え子たちが76年春の選抜大会1回戦・札幌商(北海道)戦でつかんだ勝利から、高嶋名誉監督の68勝は始まった。
甲子園で、母校グラウンドで苦楽をともにした教え子に請われての青空講演会。「野球は楽しいもの。野球を好きになってほしい。野球の練習には、のちに世の中に出たときに役立つものがつまっている。野球を始めるなら、やめないでほしい」と呼びかけた。【堀まどか】