仙台育英・伊藤19人斬りで辛勝「これが馬淵監督」

明徳義塾対仙台育英 明徳義塾に勝利し、笑顔でアルプススタンドに向かって駆けだす仙台育英ナイン(撮影・前田充)

<センバツ高校野球:仙台育英1-0明徳義塾>◇19日◇1回戦

仙台育英(宮城)は先発の左腕、古川翼投手(2年)から伊藤樹投手(3年)につなぐ1安打完封リレーで初戦突破した。

4回途中からマウンドに上がった右腕の伊藤は9回にも146キロをマーク。力強い直球に変化球を織り交ぜ、打者19人に対して1本の安打も許さずに77球を投げ切った。

須江航監督(37)は開口一番「これが馬淵監督の甲子園51勝の粘り強さ。執念のプレーが多くて決めきれなかったですけど、よく守ったと思います」と振り返った。

2回以降追加点を奪えない展開。「事前に、抽選会からかなり時間があったので、お互いに情報が入っていた。その中で、予想よりも明徳さんの攻撃が積極的だった。早めの継投が必要なのかと。もう少し古川が粘れるかと思ったけど、一番いいピッチャーをいかないといけない」と伊藤を投入した。

継投も成功。「やれることをしっかりとやりきった。ピッチャーに連動して守備も1つのミスもなかった」と評価した。2回は1死二塁から走者を走らせて、左前打で先制点につなげた。「初回の代木君を見て秋より球が強くなっている。カットボール見てた瞬間、ロースコアだなと。動かないと点は入らない」と分析し、得点につなげた。

2年ぶりのセンバツで初戦突破。東日本大震災から10年で、開会式では島貫丞(じょう)主将(3年)の選手宣誓があった。「選手宣誓の時もそうでしたけど、卒業した3年生をこのグラウンドに立たせてあげたかったと強く思いました。島貫が選手宣誓にさまざまな思いを乗せてくれたので、ピンチの場面でもここでやれている喜びがチームの中に渦巻いていた。本当にいい雰囲気でやり切れた」と振り返った。

敗れた明徳義塾(高知)は新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環で、甲子園の土は持ち帰らずにベンチ裏へと引き揚げた。