初回150キロ市和歌山・小園健太 豪腕進化にスカウト「可能性広がった」

県和歌山対市和歌山 先発する市和歌山・小園(撮影・和賀正仁)

<高校野球和歌山大会:市和歌山11-1県和歌山>◇2回戦◇15日◇紀三井寺

今秋ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の市和歌山・小園健太投手(3年)が15日、夏初戦の県和歌山戦に先発して、剛腕ぶりの進化を見せつけた。

1回から最速150キロをマークして速球を多投。押し出し四球の先制点を許したが、9球団21人のスカウトが視察するなか、速球で押しまくる姿が高評価だった。5回8奪三振1失点で初戦を6回コールド勝ち。センバツ2回戦敗退の屈辱から逆襲の夏が始まった。

4カ月前とはまるで違う姿だった。今秋ドラフト1位候補の小園が立ち上がりからエンジン全開だ。先頭に速球で押しまくる。初球から148キロ。2球目の150キロにどよめく。146キロで空振りを奪い、4球目も150キロ。夏初戦の緊張もあって、球は上ずって先制の押し出し四球を与えたが、ネット裏で陣取ったスカウトの見方は違う。

巨人岸スカウト 初回はパワーピッチャー。違う一面を見られて可能性が広がった。いつもは抑え気味ですが、ああいう投球も見られる。伸びしろがあるし、かなりワクワクする投手。春より、いまの方が格段に腕の振りが上がっている。

ヤクルト橿渕スカウトグループデスク センバツの時よりレベルアップしている。下半身が大きくなったのと、センバツの時は変化球が多かった。真っすぐを多く投げていましたから。

立ち上がりに決意を込めた。「今日は真っすぐで行くと決めてました」。2回裏に雷で1時間6分の中断後、7点を奪って逆転すると、変化球も駆使する、いつものスタイルで圧倒したが、初回の剛腕ぶりが際立った。

悔しさが、小園を強くする。3月センバツは2回戦で明豊(大分)に敗戦。速球も見直した。「8割の力感でも、これまでの10割を出せる」。春は救援登板を重ね、速球で押す意識を高めた。2ランで援護した松川虎生捕手(3年)も「ベース板を通って、もうひと伸びする。春にはなかった」と進化を認める。小園は言う。「みんなで日本一を目指す」。頂点に向かうエースの覚悟が全身からあふれた。【酒井俊作】