米子松蔭、主将のツイートが著名人らの共感呼び、異例の不戦敗取り消し

鳥取大会の会場となっているどらドラパーク米子市民球場(2014年5月13日)

学校関係者の新型コロナウイルス感染が確認されて高校野球鳥取大会の出場を辞退していた米子松蔭が一転して試合出場することが19日、決定した。鳥取県高野連が米子市内で会見。不戦敗取り消しと21日に境と2回戦を行うことを発表した。異例の対応になった。

急転直下の決断だった。SNSで話題が沸騰し、18日に同校から出場の嘆願書も届いた。この日、協議した県高野連の田辺洋範会長は「21日は学校を再開していいと保健所から指示があった。感染の心配がない状況。学校が再開されたら当然、活動できると判断させていただいた」と説明した。対戦校の境に了承を得た上で“復活”が決まった。

米子松蔭は17日に境と夏初戦を迎える予定だったが同日未明に学校関係者の感染が発覚。同校は午前6時に県高野連に連絡を入れ、保健所で検査を受けるために試合の先延ばしを要請したが、規定にのっとってメンバー交換締め切りの午前8時10分に出場辞退を強いられた。ナインは泣き崩れたという。午前10時の時点で保健所の検査で野球部に感染者や濃厚接触者がいないと確認されており、未練だけが募る不戦敗だった。

事態が動いたのは西村虎之助主将(3年)のツイッターだ。18日昼に「僕たちは夏の大会に向けて、甲子園目指して、必死に練習してきました。何とか出場する道を模索していただけませんか?」と訴えると各界著名人がリツイートなどで反応。瞬く間に、思いを共有する声が広がった。

県高野連は日本高野連などと緊急協議し、田辺会長も「全国からも多くの声があった」と認める。同校の長崎成輝校長(54)は「寛大な配慮をいただいて、うれしく思いました。全国の支援の力もあり、非常にありがたい」と話した。選手は18、19日は自宅待機。21日に待望の初戦を迎える。春季県大会を優勝した夏V候補の一角が、球場に帰ってくる。【酒井俊作】

○…米子松蔭の出場決定を受け、大阪府の吉村洋文知事(46)は19日、「鳥取県高野連の皆様、動いてくださった皆様、ありがとうございます」と感謝のツイートを投稿した。18日には「これで終わり、はあまりに酷すぎる。対策は見つけられるはずだ。この高校生の想いを大人がつぶしちゃいけない。これで終わり、なら将来に夢なんて持てないよ。鳥取の権力者の皆さん、なんとかしてあげて下さい」と、同校への救済措置を求める声を上げていた。また、元大阪府知事の橋下徹氏(52)、国際政治学者の三浦瑠麗氏(40)もツイッターで出場辞退措置に強く反論するなど、SNS上で激論が交わされていた。