不戦敗一転出場の米子松蔭が逆転サヨナラ勝ち「境高校の思いを胸に」/鳥取

境対米子松蔭 9回裏米子松蔭2死満塁、小野のサヨナラ打で二走の山崎が生還。大喜びの米子松蔭ナイン(撮影・加藤孝規)

<高校野球鳥取大会:米子松蔭3-2境>◇2回戦◇21日◇どらやきドラマチックパーク米子

学校関係者の新型コロナウイルス感染による出場辞退から急転出場が決まった米子松蔭(鳥取)が逆転サヨナラ勝ちした。西村虎之助主将(3年)の試合出場を熱望するツイートに端を発した異例の試合は、劇的な幕切れが待っていた。

2点を追う9回。無死一、三塁から山崎泰輝投手(3年)の適時二塁打で1点差に迫ると、2死満塁から4番小野陽一朗外野手(3年)が放った打球は三遊間を抜け、左前へ。2人が本塁へ生還。春の県王者の底力を見せた。塩塚尚人監督は「まずは日本中の方々が応援してくださって試合をさせていただけたことと、境高校のみなさんが(試合を)受け入れてくださって試合ができたことに深く感謝いたします」と頭を下げ「全員が最後の最後まで諦めなかった結果が勝利につながった」とナインをたたえた。

17日未明に同校関係者のコロナ感染が発覚。その影響で大会辞退を強いられ、2回戦は境が不戦勝となった。その後、18日昼に西村主将のツイートが全国へ拡散され、各界著名人が反応。県高野連の異例の対応で、不戦敗は取り消された。

西村主将は「どうにもならないことだと思った」と、不戦敗が決まった当時を振り返った。同時に「(世間が)ザワザワしていたのを感じて、ツイートしたらどうにかなるんじゃないかと思った。(SNSでの発信は)怖さはありましたけど、諦めきれなかった」。自らの声を発し、世論を動かした。今後に向け「境高校の思いを胸に、絶対に甲子園に行って、日本全国の応援してくださった方々のためにも、日本一を取ることで、恩返ししたい」と強い覚悟を示した。【古財稜明】