プロ注目小園健太、日米スカウトの前で光ったプロ顔負け投球テンポ/和歌山

<高校野球和歌山大会:市和歌山10-0高野山>◇準決勝◇25日◇紀三井寺運動公園野球場

今秋ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の市和歌山・小園健太投手(3年)が和歌山大会準決勝の高野山戦で「65分ゲーム」の超短時間試合を演出し、決勝進出に導いた。

約7秒の投球間隔でグイグイと攻めて5回1安打8奪三振で無失点の快投。テンポの速さが光った。日米6球団9人のスカウトが視察する前で真価を発揮した。夏の甲子園に王手をかけ、27日の決勝で智弁和歌山と激突する。

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紀三井寺の高校野球ファンは小園の投球中、スマートフォンをチラ見すらできない。矢継ぎ早に投げる。4回の高野山の攻撃は2番からの好打順。だが、投球間隔は7、8、7秒。息もつけない。二直、三ゴロで瞬く間に2死。プロのスカウトも驚きを隠せない。「投手はアンダーシャツ、着替える間もない」。プロ注目で4番の渡辺大和内野手(3年)はスライダーに見逃し三振。わずか2分55秒で3者凡退に料理した。

リズムの良さもドラ1候補の魅力だ。小園は言う。「テンポの良さでリズムよく守れるように心掛けて。バックを信頼してテンポ良く投げました」。無走者時の投球間隔は7、8秒台を推移。昨季、プロ野球スピードアップ賞に輝いた巨人戸郷が平均10・8秒、ソフトバンク石川が8・8秒だ。楽天牧田は過去にも7秒台を計測し、阪神西勇も速い。これに匹敵し、プロ顔負けのスピード勝負だ。

巨人岸スカウトもテンポの速さに舌を巻く。「魅力の1つ。プロでもなかなかいない。上原さんに似ている。打者に考える暇を与えない。自分の間で打席に入れない」。巨人でやメジャーで一時代を築いた上原浩治のスピード投球にたとえる速さだ。小園は球種が多彩で打者は的を絞りにくい上、狙い球を考える猶予も与えない。時短ピッチも大きな武器の1つだ。

グイグイ投げて、高校球児が制球を乱さないのは難しい。「投球の再現性が高いということです」と岸スカウト。動きを確立している証拠だ。ロイヤルズの大屋博行国際スカウトも「外国人は速い。そんな感じ。野手も守りやすい。暑いなか、外にいる時間がほとんどない」と感心していた。

快適な試合運びは攻撃に好影響をもたらし、13安打で10得点。4戦連続コールド勝ちを決めた。午前9時59分に始まった試合は11時4分に終了。あっという間の1時間5分ゲームだった。小園は「みんなで戦う最後の夏。チーム全員で日本一の夢をかなえたい」と力を込めた。登板を重ねるたびに投球の精度が上がる。充実のマウンドさばきで、まずは和歌山の頂点を狙う。【酒井俊作】

▽DeNA進藤編成部部長 センバツの時より上積みを感じる。テンポ良く投げていて、制球もまとまっている。