山梨学院、ライバル東海大甲府に5回コールド快勝 2年ぶり関東大会決めた

4回に2打席連続本塁打を放ち味方ナインに迎えられる山梨学院の4番高橋海翔内野手(撮影・井上真)

<高校野球山梨大会:山梨学院11-1東海大甲府(5回コールド)>◇2日◇準決勝◇山日YBS球場

2年ぶりの関東大会出場を決めると、山梨学院の吉田洸二監督(52)は晴れやかな笑顔を見せた。滑らかな口調で試合を振り返った。「この試合には今までやってきたことをすべて出そうと思って臨みました。エンドランもそうですし、長打力を発揮することもそうですし、この試合をひとつの成功体験としてさらに頑張ってやっていきたいです」。来春センバツ出場へ1歩進んだ。報道陣に丁寧に腰をかがめてあいさつすると、さらに言葉は弾んだ。 「前向きにやろうと。今日は試合前のじゃんけんで勝ちましたが先攻を取りました。そういうところから積極的に試合に入っていこうという思いです」。今夏から取り入れたひとつの戦略で、吉田監督らしいとんちの効いたコメントも添えた。「じゃんけんに負けても、相手が後攻を選ぶから、結局はうちが先攻になるんですけどね」。しかし、どっちに転んでも目指す先攻から試合に入れる。そういう意識は選手にとってはプラスに作用したようだ。

初回に先頭打者の左バッター鈴木斗偉内野手(2年)が、東海大甲府の奇襲とも言うべき左腕猪ノ口の先発登板に対して、カーブを鮮やかに左翼へ運び無死二塁とした。試合前、吉田健人部長から「猪ノ口の先発があるかもしれない」と言われ、ビデオを見ていた。「映像が頭に残っていました。うまく打つことができました」。

そこから相手チームを研究する山梨学院の緻密さが発揮される。続く進藤天内野手(1年)は初球カーブを投前に犠打。猪ノ口は捕球したが、一塁への送球は高投となる悪送球。二塁走者の鈴木は迷わず三塁を回り、試合開始からわずか3球で先制のホームを踏んだ。

鈴木はこの場面を振り返り具体的に説明してくれた。「猪ノ口は前の試合でもけん制で一塁に悪送球しています。外野手なので打球処理は確実ですが、投手としての送球は慣れていないだろうと見ていました」。試合開始直後の1点ではあるが、山梨学院からすれば準備してきたことが功を奏しての先制点であり、東海大甲府からすれば不安が的中の失点となった。

さらに進藤が三塁に進み1死三塁で打席は4番の高橋海翔内野手(1年)。吉田監督はカウントを考え、1-2からエンドランを仕掛ける。「高橋が空振りする可能性は低い」。そう踏んで迷わず出したエンドランに、高橋は三ゴロで応える。三塁走者進藤も絶妙のスタートで抜け目なく2点目のホームをかけ抜けた。

試合後の吉田監督は楽しそうに言った。「先攻を取ったから初回の2点はあったのかもしれませんね」。1番打者鈴木のバッティングの確実性と、先発猪ノ口の守備面での不確実さ、さらに走塁で今夏から大きく成長した進藤の判断力の高さ。こうした要素が加わって2点をリードしたのは大きかった。

5連覇がかかった今夏は準決勝で富士学苑に敗れていた。「この1年、悔しい思いをしてきた。選手も気合が入っていまいした」。常にのらりくらりと報道陣の話をはぐらかし、核心を突かせないのが吉田監督の流儀だが、この日ばかりは爽やかな秋空のよう。本音をよどみなく披露した。