<センバツ高校野球:市和歌山5-4花巻東>◇23日◇1回戦
悔し涙を力に変える-。花巻東(岩手)の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手は、無念の甲子園デビューとなった。市和歌山の米田天翼投手(3年)の前に、高校通算56本塁打(公式戦12本、練習試合44本)のバットは沈黙。4打数無安打1死球2三振で、チームも1点差で競り負けた。それでも豪快スイングで大器の片りんを示したスラッガーは、涙で雪辱を誓った。
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佐々木麟のフルスイングが甲子園をどよめかせた。初回無死一、二塁の第1打席。フルカウントからの8球目、米田が投じた外角高め140キロ直球にバットが空を切った。「とにかくつなぐ意識で狙っていた球ではあったんですけど、予想以上に高めにいって手が出てしまった」。ペロリと舌を出し、悔しそうな表情を浮かべてベンチへ戻った。
3回は空振り三振、5回は三飛、8回は一ゴロ、9回は死球。相手の好投手・米田の高めの直球に手を焼き、チームも1回戦で敗れた。「映像を見て高めにいくことが多かったので、それを逃さないようにという意識はあったんですけど、自分が打てなかったことが本当にふがいないと思っています」。中軸として無安打に終わり、敗戦の責任を一身に背負ったが、打席に立つたびにスタンドのボルテージは上昇。十分にスター性を示した。
ついに立った憧れのグラウンドだ。父の佐々木洋監督(46)が指揮する花巻東を、物心がついた頃から応援してきた。OB菊池雄星、大谷翔平の勇姿も甲子園のスタンドで見届けた。「球場に入った瞬間にテンションが上がるというか、自分にとって甲子園は聖地だと思っています」。昨年12月、中学2年時から患う両肩の胸郭出口症候群の手術に踏み切った。3カ月間はバットを振れず、3月から本格的な練習を再開したばかり。初めての聖地で本領を発揮することはできなかったが、「自分でも大きく課題が残りました」と言い訳なし。夏こそ万全な状態で日本一を目指す。
2年春の時点で先輩大谷の高校通算56本塁打に並んでいるが、常々「自分はセンスがない」と口にする。努力を重ねてアーチを量産してきた男は試合後、涙ながらに「今度こそ勝負を決められるバッターになって戻ってきたい」と雪辱を誓った。甲子園の借りは甲子園で返す。【山田愛斗】