<センバツ決勝の舞台ウラ 4>
大阪桐蔭のコーチ兼寮監を務める中村誠(25)は、優勝の瞬間、アルプスから笑顔で選手たちに拍手を送った。「スゴイなあ。僕らが優勝した時は奇跡に近かったけど、この子たちは力強いですね」。後輩たちの姿は、頼もしく見えた。
今冬、中村の携帯が鳴った。「ウチに来ないか?」。監督の西谷浩一(52)からだった。日体大から社会人野球の日本製鉄かずさマジックで3年間プレー。「社会人は3年と決めていた」と昨季終了後に引退。「うれしかった。いつかは母校で指導したかったので」。3月1日から母校にコーチ兼寮監で戻った。
中村は14年夏、主将として全国制覇に導いた。チームは12年春夏連覇を含め4季連続出場中だったが、自分たちの代でセンバツを逃した。連続出場を逃した主将-。強豪を率いる重圧に押しつぶされそうだった。そんな時、西谷から言われた言葉「強い心を持て」を支えにはい上がった。「チームを率いるには強い心を持ち、芯がぶれたらアカンと学びました」。何事も先頭に立ち、嫌われることを覚悟で厳しくチームを引っ張り涙の優勝を果たした。
高校時代の教えは今も生きている。就任直後、洗濯機の使用時間を破ったことにウソをついた選手を初めて叱った。「失敗は誰にでもある。ウソをついてごまかすのは絶対にダメや」。選手と納得するまで話した。生活は野球にも通じる。「チャレンジする失敗でなければダメやぞ」。甲子園では真っ向勝負、果敢に攻め続ける選手たちに成長を感じた。
「人としてどうあるべきかを伝えたい」。芯をぶらさず強い心で選手と向き合う。新米コーチは選手とともに成長し、大阪桐蔭を支えていく。【保坂淑子】(敬称略)