センバツ準V近江コールド勝ち、プロ注目のエース山田陽翔は「3番右翼」で出場し4打数1安打

左前打を放つ近江・山田陽翔=2022年4月17日(撮影・柏原誠)

<春季近畿地区高校野球滋賀県大会:近江7-0北大津>◇17日◇2回戦◇湖東スタジアム

センバツ準優勝の近江がコールド勝ちで、悲願の甲子園制覇に向けて再発進した。

実力校の北大津を相手に星野世那投手(3年)が7回完封。打線もつながり、7回裏に星野自らが左越え適時打を放って7点差とし、試合を終わらせた。

プロ注目のエース山田陽翔主将(3年)は「3番右翼」でフル出場し、4打数1安打だった。

山田にとって甲子園決勝の大阪桐蔭戦以来、17日ぶりの実戦。打席では力みが目立った。捕ゴロ、左中間フェンス手前まで飛ばす中飛、遊邪飛。7回の第4打席でようやく会心の左前打が飛び出し、コールド勝ちにつなげた。

「中飛は少し反応が遅れてしまった。もう少し前で打てたら入っていたかなと。でも投手のボールは見えている感覚がありました」。盗塁を決めるなど全力疾走も見せ、元気な姿をアピールした。

昨夏4強に続き今春の甲子園でも話題を集めた大黒柱は今大会、登板の予定がない。「チームとして投手が課題なので、僕ばっかり投げていても仕方がない。この大会は任せます。(星野は)今日は0点に抑えたことに意味があると思う」と底上げを期待した。

春の県大会は星野を中心とした他の投手で回し、5月21日から和歌山で行われる近畿大会まで勝ち進めば、投手復帰する青写真だという。

山田はあらためて「体は問題ないです」と笑顔を見せた。

開幕前日の京都国際の辞退により、代替出場したセンバツはまさにフル回転。準決勝では左足首への死球で負傷しながら、170球を投げ抜いて浦和学院に勝利した。決勝の大阪桐蔭戦で3回に自ら降板を申し出るまで1人で投げ抜き、合計594球を投げた。

重傷の心配もあった左足は2~3日で回復。ランニングはすぐに再開できた。大会後は10日間ノースローで肩、肘などの回復に努めた。その後キャッチボールは再開したが、遠投やブルペン入りは控えている。

投打でプロに注目される。今春はバットで存在感を見せたい。センバツでは16打数3安打、打率1割8分8厘と振るわなかった。

「甲子園で全然打てなかったので焦る気持ちはあったけど、焦っても仕方ないので(気持ちを)練習に変えようと思った」。前日16日は、午前中から夜まで打撃練習に没頭したという。多賀章仁監督(62)が「あいつはやりすぎるほどやってしまう」と心配するほどのスイング量で、打力アップに努めた。

山田の目標は滋賀県勢初の甲子園制覇。最後の夏に向けて、順調に再スタートを切った。【柏原誠】