花巻東・佐々木麟太郎が捕手デビュー「複数を守れて損はない」センバツ後に5年ぶりに練習再開

花巻東対花北青雲 5回の守備から公式戦初の捕手を務めた花巻東・佐々木麟(撮影・山田愛斗)

<高校野球秋季岩手大会地区予選:花巻東11-0花北青雲>◇2日◇代表決定戦◇花巻球場

「キャッチャー麟太郎」がデビューした。大阪桐蔭・中村剛也(現西武)と並ぶ高校通算83本塁打の花巻東(岩手)・佐々木麟太郎内野手(2年)が2日、秋季県大会地区予選の花北青雲戦に「3番一塁」で先発。11点リードした5回裏の守備では、公式戦初となる捕手のポジションについた。バットでも先制犠飛を含む2打数1安打2打点1四球。チームは5回コールドで県大会出場を決めた。

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新主将の佐々木麟が意外な「二刀流」を披露した。5回裏の守備が始まる前に、マスクを手に持ち、プロテクターを装着して本塁後方に登場。スコアボードの表示は「3(一塁)」から「2(捕手)」へと変わった。葛西陸投手(1年)とバッテリーを組み、5番から始まった相手の攻撃を空振り、見逃し、見逃しと3者連続三振に導いた。

「(葛西が)1年生なので、自分がしっかりリードをしないといけない責任があり、とにかく100%を出し切れるかを考えて配球をしていました」

佐々木麟は小学4年から6年まで捕手が主戦場だった。3月のセンバツ後に「複数を守れて損はない」と約5年ぶりに捕手の練習を再開。練習試合でも扇の要を担ったが、実戦経験は春季県大会地区予選開幕前の4月下旬頃が最後だという。この試合はぶっつけ本番で「レベルが高いかと言われたら、そんなことはないですが、最低限は守れたと思います」と振り返った。

本格的な捕手転向ではないが、チーム力向上のアクセントになる。「4番捕手」で通算52本塁打の田代旭前主将(3年)が抜けた穴は大きく、攻守で「旭さんの厚みをカバーしたいです」と今後もマスクをかぶる可能性は否定しない。花巻東に新たな「強打の捕手」が誕生した。【山田愛斗】