【田村藤夫】日本が韓国に8失点完敗、最大の敗因は韓国選手の「個」の圧倒的な力/U18W杯

U18W杯スーパーラウンドで韓国に敗れ、馬淵監督(手前)を前に厳しい表情を見せる日本の選手たち(撮影・菅敏)

<U18W杯:日本0-8韓国>◇15日(日本時間16日)◇スーパーラウンド◇米フロリダ州レコン・パーク◇7イニング制

スーパーラウンドの初戦は、A組韓国2位に完敗を喫した。田村藤夫氏(62)は韓国選手のパワーとスピードに目を見張り、日本代表との差を目の当たりにした。

失策が絡み初回に4点を失った。先発山田に本来の球威が戻っていない。打線が韓国投手陣に力負けした。いくつか敗戦のポイントが挙げられるが、最大の敗因は韓国選手の「個」の圧倒的な力だと要約できる。

中でも投手陣はすごい。台湾の先発投手を前回の解説では高く評価したが、比較にならない。抑えで出てきたキム・ソヒョンが、7回2死満塁で浅野に対しカウント1-2から外角高めの速球で見逃し三振に仕留めて試合を終えたが、このボールがテレビの球速表示で163キロ(球場表示は約156キロ)。スリークオーターから、ほんのわずかにシュート回転しているが、球威、キレともに申し分ない。このままプロ野球でも通用する。

私は高卒ルーキー佐々木朗希のボールを20年のキャンプで見ているが、むしろスリークオーターで投げている分、打者からすれば打ちづらいかもしれない。浅野は手が出ない様子だった。これだけのボールは初めて見たのではないか。本来、スリークオーターだとややボールの回転がシュート気味になるものだが、この見逃しに仕留めたボールは、わずかに右腕が上がってはいたが、きれいな回転をしていた。

抑えだけではない。先発のサイドスローも148キロを計測し、制球も含めて非常にレベルが高い。2番手の左腕は146キロを誇る。抑え投手が韓国のドラフトで全体1位指名、左の2番手投手が全体2位指名と聞いた。先発のサイドスローも含め、日本で言えば3投手とも1位指名で消えていくレベルだろう。

これだけの投手スタッフを日本戦で登板させ、完膚なきまでに抑え込んできたところに、韓国チームの日本戦に対する強い気持ちを感じる。その投手陣に対して、ボテボテの当たりがヒットになったものはあったが、しっかりとらえたのは渡部の右前打だけ。この当たりもやや詰まっていた。内海が遊ゴロ、左飛に仕留められながら、いずれもしっかりとらえていたのが目についたくらいだった。

韓国の投手力を考えれば絶対に先制点は与えてはいけない試合だった。両チーム無得点で終盤にワンチャンスを作って競り勝つしか展望は開けない。それほどの力の差を感じた。その中で山田に本来の球威がなく、失策も絡んで初回4失点したことが試合の行方を決めてしまったのだが、そうした日本の敗因を分析する以前に、投打にわたる韓国選手の充実ぶりが印象に残る。

韓国の4番打者は浅野をさらにがっしりさせた上に、身長もある。ひと回り以上大きい。ソフトバンクで活躍した李大浩を思わせる体形で、それでいて非常にシャープなスイングをする。メガネをかけた抑えの右腕も、佐々木朗希よりも体に厚みがある。韓国選手は、まるでプロかと見間違うほど体が大きい。身長が高いだけでなく、胸板も厚く、パワー、スピードを備えている。

日本代表と比較した時、技術うんぬん以前の差を痛感せざるを得ない。山田は2回、その4番からカウント0-2から148キロの外角まっすぐで空振り三振を奪っている。この1球が、この日投じた46球の中で唯一、甲子園で躍動していた姿を見た私が、山田らしいと思えるボールだった。

本来、山田や浅野の詳細なプレーを解説しながら敗因を探り、今後に向けた課題を考えたかったが、あまりの「個」の違いに、韓国選手の突出した素材に目を奪われてしまった。残念ながら、それほどの違いを見せつけられた。

オランダ、米国戦を残し、何としてでも勝利を目指し、丁寧に、正確にプレーすることで、世界レベルの中でどこまで通用するか。気持ちを新たに戦ってほしい。ここからチームプレーに徹して粘れるか。現状で日本チームが発揮できるのは、一丸となって戦うことになると感じる。(日刊スポーツ評論家)