伝統校・前橋工が誰よりも鍛錬を積む扇の要を中心に22年ぶりとなる夏の聖地を目指す。
春夏合わせて13回の甲子園出場を誇るチームの大黒柱となるのが、主将で捕手を務める青木朝飛(あさひ=3年)だ。打撃ではシュアな打撃で中軸を任され、守りでは3人の投手を冷静にリードする。「捕手が相手に一番見られていると思う。だからこそ一番冷静に」と常にチームの先頭に立つ。
主将経験はなかったが、昨夏の初戦敗退をベンチで経験し、責任感が芽生えた。「このままじゃダメだ。自分がチームを引っ張る」と主将に立候補。「キャプテンが一番練習しないと」と毎朝晩、そして練習試合の日も早朝5時前から自主練習に取り組むなど、自らの背中でチームを引っ張る。豪雨で全体練習が中止となる日も高橋寛人監督(41)に「バッティングをしたいので雨天練習場を開けてください」と電話をかけ、1人で黙々と練習した日もあった。
この行動にはチームメートも感化。早朝に自主練習を共にする選手も現れ、朝練習のない火曜日と木曜日の朝にもほとんどの選手が集まって練習するようになった。「今までにないチームの一体感を感じる」と充実の表情を見せる。
高橋監督は「青木は練習の虫。彼が中心になってみんなよく練習するようになった。1日でも長くこの子たちと野球がしたい」と「チーム青木」への愛を口にする。
この夏は7年ぶりにシード校として臨む。夏の甲子園で3度の4強を成し遂げたチームも夏の甲子園から21年間遠ざかった。だが目指すのは「伝統校復活」ではない。青木は「新しい前工を作ろうと新チームからここまでやってきた。みんなで甲子園に行きたい。そして高橋先生に恩返しがしたい」とこの夏に懸ける思いも強い。練習の虫に率いられた「新生・前工」の夏が幕を開ける。【黒須亮】