種子島、離島のハンディ乗り越えるも初戦敗退「3年生が頑張ってくれた」四位仁史監督/鹿児島

加治木対種子島 試合に敗れ、肩を落とす種子島ナイン(撮影・佐藤究)

<高校野球鹿児島大会:加治木11-5種子島>◇2日◇1回戦◇平和リース球場

離島から聖地を目指した夏物語が幕を閉じた。第105回全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)の鹿児島大会が2日、雨天順延の影響で1日遅れで開幕した。種子島は加治木に5-11で敗れ、県勢1番星をつかむことはできなかった。エース左腕・沖田想(そう、3年)は8回1/3を147球を投じ、20安打11失点と懸命に腕を振った。打線は9点差の9回に失策を含む4連打で3得点と最後に意地を見せたが、5年ぶり(20年の独自大会を除く)の夏初戦突破を逃した。

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種子島ナインは最後まで戦う姿勢を貫いた。9点差で迎えた9回のラスト攻撃前。四位仁史監督(32)は選手らにゲキを飛ばした。「打つしかないぞ! 連打でつないでいけ!」。先頭の7番中村空斗(くうと)内野手(2年)の中前打を皮切りに失策を含む4連打。無死満塁では1番林田青(あお)主将(3年)が初球を引っ張り、左前へ2点適時打を放つなどこの回3点を奪った。四位監督は「気持ちを持ってよく戦ってくれた。最後まで食らいついてくれたと思います」と目を細めた。

離島のハンディをチーム一丸で乗り越えて、集大成の夏に挑んだ。「種子島宇宙センター」があることで有名な種子島は、鹿児島市内まで約115キロほどに位置し、海路で約1時間半かかる。そのため、島外に遠征できるのも年にわずか数回ほど。年末に女子マネジャーも含む、野球部全員が遠征費などの足しにするため、地元企業やコンビニ、ガソリンスタンドでアルバイトを行うという。四位監督は「学校の許可をいただいて、選手たちで企業側にアポイントを取る。春の大会は自分たちのお金で出場しました。あいさつや礼儀など社会性も身につきます」と成長につなげてきた。今春からチーム内で統一する白スパイクも選手自ら稼いで購入したものだ。

島内での練習試合を行うにも、種子島中央のたった1校に限られる。部内での紅白戦をするにしても3年生6人、2年生9人の計15人と足りない。さらに今年に関してはまさかの新入生0人という予期せぬ不運も重なったが、四位監督は逆手に取った。「何とかやりくりをして…。若いコーチにも入ってもらいながら16人で紅白戦しています」。名付けて「8人制野球」。本来よりポジションが一つ空くことで「投手は配球であったり、打者はどこに飛ばすかを考えるようになる。頭を使った戦法ができるようになる」と指揮官は力説する。

チーム目標は「優勝して、甲子園出場」と大きく掲げていたが、その夢には届かなかった。それでも、林田主将の目に涙はなかった。「やり切った。新チームになって、チームのみんなが自分を支えてくれた。感謝しかないです」。四位監督も「3年生さすがでした。攻守でほんとに頑張ってくれた」とねぎらった。ナインは高速船「トッピー」に揺られ、胸を張って帰島する。