帝京長岡・服部太海 先輩の無念晴らし「必ず甲子園に行く」/新潟高校野球連載

打撃練習をする服部

全国高校野球新潟大会が6日、開幕する。春季県大会優勝校で、今大会第1シードの帝京長岡の打線を引っ張るのは4番服部太海外野手(3年)だ。春季県大会では打率7割6分9厘のハイアベレージをマーク。昨夏のベンチ外から急成長して臨む最後の夏、培った打力でチームを初の甲子園に導く。

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打席の服部は感情をあらわにすることはない。打撃練習時、そして試合と左打席で淡々としたたたずまいを見せて、投手と対峙(たいじ)。際どいコースを見極め、射程圏に入ってきた球を鋭く力強いスイングでとらえる。

「自分のやることをやる」と4番としての心構えを話す。長距離砲の3番浮ケ谷航平(3年)が四球で歩いた後は塁上を“掃除”する。走者なしではチャンスを作る。春季県大会は驚異の打率7割6分9厘。4試合で本塁打1本を含む13打数10安打、8打点を記録した。続く北信越大会でも2試合で6打数3安打で3打点。長打だけでなく広角に打てるのも強みだ。「カウントや場面想定を常にしながら打撃練習をしてきた」。各校の厳しいマークが予想される夏に向け、実戦感覚を研ぎ澄ませた。

芝草宇宙監督(53)は「うちの不動の4番」と信頼を寄せる。服部は1年秋からベンチ入りしていたが、昨夏だけベンチ外だった。この1年で主力の中の主力に成長。技術はあるが、打球にひと伸びがなかった。体力アップのため、冬場は「食トレ」を実践。1日6食で体重アップを図り、筋トレも毎日行った。昨秋から10キロ増え体重80キロになった肉体には強打を生み出すパワーが備わった。

帝京長岡は昨夏、初の決勝進出を果たし準優勝。日本文理に延長11回、1-2でサヨナラ負けした。服部は応援席からその瞬間を見ていた。北海道・札幌東シニアの1年先輩で当時のエース茨木秀俊(現阪神)の涙を忘れていない。自身の成長を示し、先輩の無念を晴らす-。1年分の思いを歓喜に変えるラストチャンス。「必ず甲子園に行く」と決意を言葉にした。【斎藤慎一郎】

◆服部太海(はっとり・ひろみ)2005年(平17)4月26日生まれ、北海道出身。新発寒小2年から北発寒エンジェルスで野球を始める。稲積中では当初は軟式野球部で、2年から少年硬式野球の札幌東シニアに所属。帝京長岡では1年秋にベンチ入り。憧れのプロ野球選手はレッドソックス吉田正尚外野手。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。

○…エースの茨木佑太(2年)は「状態が上がってきた」と自信をみせる。春季県大会決勝の加茂暁星戦は6回7安打7失点で、北信越大会は小松大谷(石川)戦で4回2/3を4安打2失点。反省から直球の精度と球威アップを図ってきた。昨夏は背番号11でベンチ入り。今夏は昨夏エース、兄秀俊と同じ1を背負う。「勝てる投球をしなければならない中で投げ抜いたのはすごい」と兄の偉大さを実感。それだけに「今年は自分たちが勝たなければ」と昨夏の雪辱を誓った。