「竜の里」の体重110キロ強打者 全校生徒23人の南部高龍神分校・上村凌賀が決勝弾/和歌山

南部高龍神分校対県和歌山 初回に放った2点本塁打のボールを手にポーズを決める南部高龍神分校の上村(撮影・村松万里子)

<高校野球和歌山大会:南部高龍神分校3-1県和歌山>◇2回戦◇13日◇紀三井寺運動公園野球場

「竜の里」に怪物がいた! 南部高龍神分校(和歌山)の上村凌賀内野手(3年)が豪快な決勝2ランを放ち、18年以来(20年独自大会は1勝)の初戦突破を導いた。学校がある田辺市龍神村の出身。全校生徒23人の分校に現れた体重110キロのスラッガーが夏の主役になる。

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110キロの体重を乗せた力強い打球が、紀三井寺の大空にグングンと伸びた。南部高龍神分校の3番・上村凌は初回1死一塁、決勝打となる2ランを放ち、同校を5年ぶりの夏勝利(20年独自大会では1勝)に導いた。「打った瞬間、行ったかなと思いました。1球で仕留められて良かったです」と高校通算26号に笑顔だった。

出身地の龍神村は紀伊半島中部に位置し、村の約95%が森林。人口は約2800人、高齢化率が約45%と過疎化が進んでいる。村唯一の高校では全校生徒23人がカヌーや田植え、稲刈りなど自然を生かした授業に取り組む。野球部は10選手で、上村を含む3人が龍神中出身だ。

地元の球児を応援しようと、客席には大勢の村民が集まった。日頃は食堂や練習グラウンド近くの小さなスーパーで声をかけられる。「村民の方々があいさつしてくれたり『頑張れ』と声をかけてくれる。今日は声援が聞こえたので気持ちが楽になりました」。なじみの声に後押しされた。「1年生で入った時から勝って校歌を歌うことができていなかった。本当に勝ちたいという思いで練習してきました。勝ててよかった」と喜びをかみしめた。

スローガンは「全員野球」。「村民や関わってくださるすべての方々が入っています」と日頃の感謝を胸に初戦に挑んだ。大自然と温かな村民に囲まれ、育まれた大砲。次戦の箕島との3回戦に向け「チームが勝てるようにチャンスで打ちたい」と気合十分だ。一日でも長い夏にする。【村松万里子】

◆田辺市龍神村 05年に田辺市と合併。人口約2800人。紀伊半島中部に位置し、約70%を標高500メートル以上の山岳が占める。林業が盛んな地域で、日本三美人湯の1つとして知られる「龍神温泉」も有名。