<高校野球兵庫大会:西宮今津12-0西宮北>◇12日◇2回戦◇ベイコム
オリックス田口壮外野守備・走塁コーチ(54)の母校・西宮北は、西宮今津との「西宮対決」に5回コールドで敗れた。エースの野口亮祐(りょうすけ)主将(3年)は号泣しながら球場を後にした。
メンバー16人のうち3年生が2人、2年生は2人、SNSや体験入部の勧誘で集めた1年生が12人とフレッシュなメンバーで夏の舞台に立ち向かった。野口は「やりきったと言える試合。感謝を伝えるピッチングがしたかったのに、緊張が最後まで続いて思ったようにコントロールができなかった」と目を潤ませた。
2年時の2月に同学年の選手が4人退部し、今春の大会は部員不足で辞退を余儀なくされた。「本業がバレー部の子たちがケガをしたらいけない」と助っ人を借りない決断をした。
それでも普段から「他の学校が手伝ってくれた」。部員の少ない部活動ならではの問題は、県内の野球部との合同練習や合同の紅白戦で経験を重ねた。
西宮北は25年に西宮甲山と統合予定。元ABCアナウンサーの清水次郎監督(51)が率いる同校野球部とは交流も多く、清水監督から「野口くんいいピッチャーやったから練習試合をさせてほしい」とエースの耳には届いていた。その清水監督の言葉が進路のヒントになった。
「アナウンサーというエリートの方が、なんでしんどい高校野球の指導者になったのですか」
思い切って質問すると、清水監督は「お金じゃ買えないモノがある」と返してくれた。「自分がやりたいことを突き詰めた結果、高校の先生になったんや。野口くんが大学でも野球をやろうかと心残りがあるんやったら、自分のやりたいことをやりなさい」と背中を押してくれた。
今後は「今日こういう形で終わったので、大学ではみんなを見返したい」と一般受験で大学野球の門をたたくつもりだ。「正直、3年間を無駄にしてしまった。兵庫は報徳学園とかにいい選手が多いけど、ギャフンと言わせて、4年後はいい選手になりたい」と背筋を伸ばした。
「2年半、しんどかった。3年生はマネジャーを含めて最初は9人おったのに、最後はマネジャー入れて3人っていう形で。残ってくれた2人に感謝している。支えてくれた人がいて、試合ができることが当たり前じゃないとわかった。結果を残せなかったけど、統合して名前が変わっても、高校野球は支えられている。公立校やから強豪に勝てないと思ってほしくはない」
西宮北のラストイヤーへ、後輩にバトンを渡した。【中島麗】