<君がらんまん~ある敗者の物語~>
<高校野球群馬大会:前橋商3-2桐生第一>◇27日◇決勝◇上毛新聞敷島球場
高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。
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力をくれたのは、いつも仲間だった。9回2死、聖地まであと1アウトからサヨナラ負けを喫し、桐生第一のエース左腕・中村駿汰投手(3年)はマウンドで泣き崩れた。「サポートに回ってくれたメンバー外の選手たちに申し訳ない。悔しいです」。ピンチを迎えた時のタイム、マウンドで1枚の写真を見ると気合が入った。3年生36人の集合写真。「ここぞの時、36人の気持ちが1つになりました」と明かす。
アクシデントにも動じなかった。1-1で迎えた5回1死、打球が左くるぶし付近を直撃した。立っていることができず、チームメートに背負われてベンチへ下がった。治療の時間をはさみ、今泉壮介監督(43)に「行けます」と直訴。再びマウンドに上がった。連打と四球で2死満塁のピンチとなるが、最後は踏ん張って投ゴロに抑え、ガッツポーズ。「痛かったけど、それよりもチームが優先だった。自分は犠牲になっていいと思いました」。
痛みをこらえながら気迫の投球。8回には3者連続三振も奪い「3年生36人が三振を取らせてくれたのかなと思います」。最後までマウンドに立ち続けた姿は、エースそのものだった。【保坂恭子】