<全国高校野球選手権:慶応7-2沖縄尚学>◇19日◇準々決勝◇甲子園球場
「琉球の鉄腕」が、慶応打線にのみ込まれた。2点リードの6回。沖縄尚学の最速147キロエース東恩納蒼投手(3年)は1死から四球を含む、長短5安打を許して大量失点。今大会2試合連続で完投中だったがこの夏、初めて集中砲火を浴びた。5回1/3を8安打6失点(自責4)で左翼の守備に回り、最終回は中飛で最後の打者となったが、目に涙はなく、最後は笑みを浮かべていた。
「やり切った。相手が上でした。自分たちの力が足りなかった。最高の場所で終わることができた」
立ち上がりから主導権を握ったのは東恩納だった。5回まで3者連続を含む、7奪三振をマークする快投。うち5三振が「真っすぐの軌道から消える」と控えメンバーが証言する必殺のスライダーだった。「序盤からいい感じで入ることができた。(5回までの投球は)今までで一番良かった結果です」と胸を張った。
豊見城市出身も3歳から7歳くらいまでを久米島で過ごした。友達との遊びの1つが昆虫採集。バナナの入ったストッキングを森の木に仕掛け、翌朝4時過ぎにクワガタをつかまえる。少年時代は山中を走り回る“野性児”だった。
128球で9回を1失点完投勝ちした16日の創成館(長崎)戦から中2日での先発にも、「疲れはなかった」。今大会3試合で投じた球数は342球。夏場を戦い抜く無尽蔵のスタミナの礎は、離島で培ったものだった。
今後の進路について、東恩納は「大学に進学して、成長してプロで活躍できる選手になりたい」と新たな目標を掲げ、甲子園を後にした。