努力は報われる…仙台育英の背番号16・木村春人が証明した7球「涙が止まらなかった」須江監督

9回に2アウトを奪い、笑顔でベンチに引き揚げる木村

最初で最後の公式戦登板を笑顔で締めくくった。仙台育英(宮城)の木村春人投手(3年)は、両校優勝で幕を閉じた鹿児島国体で初のベンチ入りを果たした。11日の準決勝・北海(北海道)戦で、9-7の9回に4番手で登板。2つのアウトを奪い、11年ぶり2度目の国体Vに貢献した。3年間で初めてつかんだ背番号。須江航監督(40)が認める努力家が、鹿児島の地で「16」を背負い、7球に魂を込めた。

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緊張の面持ちでマウンドに上がった木村は、仙台育英での3年間を7球に乗せた。先頭を空振り三振に封じ、後続は三ゴロ。「めっちゃ緊張して、『ずっとどうしよう』と思っていたんですが、自分の持ち味を出すことができた。報われたという感じです」。5番手・田中優飛投手(3年)に後を託して小走り。笑顔でガッツポーズを決めると、ベンチでは胸の前で両手をクロスさせて安堵(あんど)した。

中学時代は楽天シニアのエース。だが、高校で伸び悩んだ。167センチと小柄で元々はオーバースローも「限界を感じて」と昨年の冬頃からサイド、アンダーにも挑戦。須江監督から「全部使ってもいいんじゃない?」と背中を押され、3つのフォームを操る投手に変貌を遂げた。指揮官には「千手観音投法」と命名され、北海戦では上から6球、横から1球を投げ込んだ。木村は「余裕がなくてアンダーはできなかった」と照れ笑いを浮かべたが、2/3回を無安打無失点に抑えた。

試合後、須江監督は公式戦初登板した背番号16の名前を真っ先に挙げた。「9回は木村が投げてて涙が止まらなかったです。感動しました」と目を赤くした。「本当に努力家だし、『何としてでもベンチに入るんだ』『甲子園で投げるんだ』と最後まで夢を追いかけてずっとやってくれた子。その形が最後、甲子園じゃなかったですけど、僕には甲子園で投げてるのと同じように見えました」とねぎらった。

仙台育英は今夏の甲子園で準優勝。木村はその後も続いた激しいチーム内競争を勝ち抜き、国体のメンバー18人に選ばれた。わずか7球、わずか2アウトで高校ラスト登板を終えたが「楽しかったですね」。大学でも硬式野球を続ける予定。努力は報われることを証明した。【山田愛斗】