日米通算4367安打のイチロー氏(50=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が16、17日の両日、沖縄・宮古島の宮古高校で硬式野球部員に指導を行った。
同氏の野球部訪問は20年の智弁和歌山から始まり、通算8校目。今年は11月の旭川東(北海道)に続いて2校目。今冬は最後で、来年以降も継続する意向がある。
初日は雨天のため多目的屋内運動場でスタートした。「初めまして。もうちょっと盛り上げてほしいね。もうちょっとテンション上がっていいんじゃないかな。遠慮しちゃうの? もう1個、先にいくためには自分を表現することは必要なことなんじゃないの?」と、緊張気味の選手を前にあいさつ。
一緒に体を動かすうちに、次第に打ち解けた。フリー打撃では自ら打撃投手も務めた。打席に入る選手から次々に質問が飛び、個別にアドバイスを送った。「なるべく肘は体から離さないで」。タイミングの取り方については「まずは得意なコースを磨いてほしい。魔法みたいなことはない。とにかく鍛錬を重ねるしかない」。
17人に448球を投げ込む熱投だった。その間、休憩はしなかった。選手からおかわりのリクエストがあったが「おじさんも限界を迎えるんだよ。休ませて」と笑わせた。
最終日のこの日も天候がすぐれなかったが、屋外球場でフリー打撃を実演し、23本の柵越えを放った。
宮古島はオリックス時代にキャンプで何度も来訪した特別な場所。島民の甲子園への思いが強いことも知っている。宮古の成績はメジャーに行っても気にかけていたという。最後の質問コーナー。選手たちに熱くエールを送った。
「甲子園に出ることは大事だけど、その後の人生はもっと長い。野球部で経験した自信、悔しさをその後の人生の支えにしてほしい。頑張ったことは支えになるからさ。その上で悲願達成できたら最高だよね。宮古高校の結果をずっと見ていたんだよ。悔しい思いもしてるでしょ。野球をしているとよく分かると思うけど、マジック、手品はないから。簡単に手に入ったら、そんなの人としての厚み、重みは出ない。苦労して習得するから人の厚みが出るんだから」
去り際。車の窓を開け、あいさつの小ささをまた指摘。「ありがとうございました!」と声を張り上げた部員たちに「それ、それ」と合格印を出した。
◆宮古(みやこ) 1928年(昭3)創立の県立高。宮古島で唯一の全日制普通高校。生徒数707人(女子388人)。部員20人(うちマネジャー3人)。松原芳和校長。