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元ラグビー選手の父を持つ山梨学院・中原義虎(よしとら)主将(2年)が、出場が確実視される今春センバツで優勝旗を返還する。新チーム始動と同時に同校野球部に、父の中原正義さん(50)がトレーニングコーチに就任した。名門佐賀工出身。日体大では主将として200人の部員を束ねた。卒業後は社会人の東芝でプレーし、日本一に輝いた。引退後は明大や帝京大などで指導した。
父がコーチとなった背景には今春から導入の低反発バットがあった。昨春センバツで優勝した3年生が、夏の大会後に低反発バットで振り込んだ。比較的体の大きかった3年生の打球は従来のバットとさほど変わらなかった。現在の2年生はまだ体格が小さい。吉田洸二監督(54)と吉田健人部長(27)は体強化のため元アスリートの正義さんに指導を打診した。
その際に正義さんは「嫌じゃないか?」と息子に確認した。父親なりの気遣いも、義虎は当然のように「全然嫌じゃない」と歓迎した。頻繁に親と会えない寮生活。父がコーチとして野球部に携わることは心底うれしかった。「自慢の父です」と柔らかい表情で話す息子は、父と同じ主将としてチームを引っ張る。
週1回。1時間つきっきりで基礎トレーニングを指導。自己流ではなく正しい腹筋や背筋のフォームを徹底して教え込んでいる。さらに2カ月に1度、体力測定で体の成長具合をチェック。全体練習に加えた筋トレやその日の疲労度、体重をシートに記入。これをグラフ化し、部員に変化量を目でわかりやすく認識させている。
同部では年に一度、保護者が寮に入れる時期がある。年末年始に子どもたちが掃除しきれなかった部分をきれいにする。コーチでありながら父の正義さんは、指導のかたわら、他の保護者たちと一緒に掃除に汗を流した。コーチの父と共に挑むセンバツ。昨春のセンバツは応援団長としてスタンドから声援を送った。次は選手として、親子二人三脚で日本一を目指す。【佐瀬百合子】