<センバツ高校野球:熊本国府2-1近江>◇18日◇1回戦
近江(滋賀)はタイブレークの末にサヨナラ負け。今年1月に急逝した寮母に勝利をプレゼントすることはできなかった。
一丸で勝利を届けたかった人がいた。今年1月9日、「青和寮」の寮母だった窪田満智子さんが心筋梗塞で76歳で急逝した。突然の出来事に、状況を知らされたナインは泣き崩れた。
寮では「マチさん」と親しまれた。かき氷やたこ焼きを作ったり、ユニホームに背番号を縫ったこともあった。夫温(たずね)さん(75)は「本当に楽しくやっていた。子どもに愛され、子どもを愛していた」と振り返る。
通夜は家族葬のつもりだったが、「250人の方が来てくださった。深夜0時を回っても参列にしてくださった」。温さんもびっくりするほどの影響力。愛されていたからこそ、悲しみは大きかった。
いつも近江が甲子園に出場したときは夫婦並んでアルプスで応援していたが、この日温さんの隣に満智子さんはいなかった。温さんは「寂しいですよね。でも選手の頑張りは届いていると思う」と暖かなまなざしで戦況を見守った。
寮生の大石尚汰主将(3年)もお世話になった1人。好機に凡退し、「ランナーをかえすのが仕事。役目を果たす準備はしていたが、結果が出ず悔しい」と思いは届かなかった。それでも、サヨナラ機の9回には三塁ライナーを止めて延長タイブレークに持ち込んだ。「準備をしていたのでしっかり取れて良かった」と前を向いた。
同じく寮生で「3番中堅」でスタメン出場した嶋村■(■は隆の生の上に一)吾外野手(3年)は3安打と気を吐いた。「何としても勝利を届けたかったが残念。楽しんでプレーしていたので、そこはマチさんは楽しんで見てくれたと思う」と全力プレーは届けた。狙うは夏のリベンジ。「何としてでも夏に戻ってきて、マチさんやメンバー外のみんなに勝利を届けられるようにやっていきたい」と誓った。【林亮佑】