<センバツ高校野球:常総学院1-0日本航空石川>◇25日◇1回戦
球場は異様な空気に包まれた。1-0で迎えた9回裏、1死一、三塁。一打同点のピンチを招くと、球場は能登半島地震で被災した日本航空石川を応援する歓声と拍手であふれた。常総学院の先発、エースの小林芯汰投手(3年)は島田直也監督(54)の言葉を思い出していた。「変な勘違いをしていい。相手の応援も自分のことを応援してくれていると思って投げればいい」。
自分らしく、落ち着いて投げればいい。小林は大きく深呼吸。気持ちを落ち着かせた。「大変な思いをされて同じグラウンドに立っている。それでも自分たちが全力でぶつかることが相手に対しての礼儀なんだ」。自分の得意球、カットボールで遊撃への併殺に打ち取り、マウンド上でガッツポーズを見せた。「相手は大変な思いをされて同じグラウンドに立っている。自分たちが全力でぶつかることが礼儀だと思った」。9奪三振の5安打完封で、チームを3年ぶりの勝利に導いた。
この冬、磨いたカットボールが生きた。一緒に取り組んできた片岡陸斗捕手(3年)は「秋はコントロールがまだまだだった。ひと冬越えて、ストライクが欲しい、ファウルが欲しい、ショートバウンドでいい。外広くでいい。幅広く対応ができるカットボールを、試合中はジェスチャーで伝えて、しっかり投げ込んでくれた」と分析。回転数を意識しながら投げ込みを続けた成果を、大舞台で発揮。「1つずつ、しっかり自分のテンポで投げることができた。夢みた場所でこういうピッチングができて、本当にうれしいです」と笑顔を見せた。
島田監督へ、最高のバースデープレゼントになった。17日、開会式前日が島田監督、54歳の誕生日だった。夕食後、選手全員で「初戦の勝ちをプレゼントします」と宣言。その通り、接戦をものにし、勝利をプレゼントに。島田監督は「いいプレゼントをもらいました。小林の好投に、守備もよく頑張った。今日は全員野球ができた。甲子園っていいなと思いました」。最高の笑みを浮かべた。
◆常総学院の完封 小林が完封勝ち。同校投手のセンバツ完封は94年清本隆治が岡山理大付、高知商に2試合連続でマークして以来30年ぶり。夏の大会を含めても同校のスコア1-0完封は93年夏の倉則彦(対鹿児島商工)以来2人目。
◆師弟完封 常総学院・島田直也監督は87年夏に2完封している。甲子園で師弟ともに完封を経験した最近の例では21年夏の二松学舎大付・市原勝人監督と秋山正雲、昨夏の沖縄尚学・比嘉公也監督と東恩納蒼などがある。
◆無失策試合 常総学院-日本航空石川戦で記録。今大会2度目。