偏差値73の名門・水戸一「実力」で70年ぶり聖地狙う 小川永惺7回無安打投球&5打点/茨城

7回無安打投球を見せた水戸一・小川(撮影・金子真仁)

<高校野球茨城大会:水戸一8-1牛久栄進>◇12日◇2回戦◇ノーブルホームスタジアム水戸

「実力」で70年ぶりの聖地に迫る。偏差値73の名門校、水戸一は今夏初戦の牛久栄進戦でエース小川永惺(ひさと)投手(3年)が7回を無安打投球。大差での交代で大記録達成はならなかったがバットでも4打数3安打5打点と、投打で活躍した。

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平日、雨天中止の可能性あり。それでも水戸一の生徒たちは、意気揚々と水戸駅から臨時バスに乗り込む。「あの命題は」「証明方法は」「矛盾を」と数学的な話題で盛り上がる車内。球場では一転、卒業生やファンも加わり一塁側スタンドでは収まりきらず、外野芝生席で跳びはねた。

熱気に押され「セヤッ!」と叫ぶエース小川の球が雨を裂く。「あまり調子が良くなかったので」と言いつつ両サイドを突いて試合を作り、気がつくと7回まで被安打0。自身の5打点もあってコールドペースになり、大記録を前にしてマウンドを譲った。

吉田輝星(現オリックス)に憧れ、魂を込めて投じた98球のうち、たった2球だけの超スローボールがともにストライク。「たまたまです」と謙遜するも見事な技術だ。関東屈指の進学校には、豊かな才能があちこちにいる。小川もその1人であると証明した。

この春は21世紀枠の選に漏れた。「夏の大会に入ったので」と、今ではもはや何とも思っていない。「過去は変わらないので。未来を変えることで過去の価値が変わると思うので、今を大事にして」と堂々話す。

その大人びた表情が国民的スターのドジャース大谷翔平に少し似ている。「小さい頃はよく言われてました。今はそんなに…」。70年ぶり聖地の命題を背負い、少なくともこの日は投打で母校のヒーローだ。

「水戸一の野球部は甲子園からすごく遠ざかっているので、秋も春もベスト4で来てますけど、1位にならなきゃいけないので」

試合後のスタンドでは「じゃ次、甲子園で」と、年配OBたちが再会を誓い合っていた。【金子真仁】

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